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科学が支えるチーム再起の瞬間 │ 自己効力感が芽吹くスイッチとは

目次

停滞の朝―霧の中をさまようチーム

10期を迎えた次世代リーダー研修。
毎年、おおくの20代~30代のメンバーが集まり、自らの成長を感じるよう頑張っています。
この研修は、5月~12月まで、毎月開催されるプログラムで、最終的には「職場の”ムダ”を半分以下にする」というテーマに挑戦します。

そのために、問題解決力やレジリエンス、チームビルディングなどの学ぶ研修です。
毎月2日間のプログラムなのですが、この月は3日間。
問題解決理論を実践しながら、学ぶでなく習うことに集中します。


次世代リーダー育成研修|ナレッジリーン

ナレッジリーンは国や地方自治体を顧客として環境分野の調査業務や計画策定、企業の非財務分野に対するマネジメントコンサルティングや人材育成を主業務とするシンクタンク&コンサルティングファームです。

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そんな研修で、二日目の朝、会場には重たい空気が漂っていました。
昨日まで意欲的に机を囲み、声を張り上げながら議論を重ねていたメンバーたちの表情は、どこか曇っています。
紙の上にはたくさんのアイデアが並んでいるのですが、それらはどれも似たようなものばかり。

新しい視点や、突破口となる提案は見えてきません。
会話のテンポも昨日と比べて落ち、声のトーンも沈みがち。
まるで、濃い霧に覆われた道を、出口が見えぬまま歩いているような感覚に包まれていました。

「どうしても同じパターンしか出てこないな……」
「もう出し尽くした気がする」
「でも、これじゃ同じ改善を繰り返すばかりよね?」
「そうなんだよ。新しい対策をみつけなきゃ意味ないよな。」

そんなつぶやきが漏れ始めると、空気は一層重くなります。
グループワークは本来、互いの発想が刺激し合い、相乗効果を生むものです。
しかし、この瞬間は、誰かが口を開いても、それが周囲に広がらず、ただ沈んでいくようでした。

問題解決の研修において、こうした「停滞」は珍しいことではありません。
むしろ、必ず訪れるといってもよいでしょう。
人の頭脳は、一晩眠ったからといって、翌日に必ず新しい発想を用意してくれるわけではありません。

前日の思考の延長線上に乗ってしまい、発想が堂々巡りを始めるのです。
その堂々巡りは、本人だけでなくチーム全体を巻き込み、全員の気分を落ち込ませていきます。
この状態を、私は「思考の霧」と呼んでいます。

目の前に道はあるはずなのに、霧が濃すぎて進む方向がわからない。
視界は遮られ、歩を進めても自分がどこにいるのか把握できなくなる。
そんな状況が、二日目の朝に現れていました。

ここで重要なのは、この「霧」が失敗や無能さの証ではない、ということです。
むしろ、真剣に考え抜いているからこそ、必ず行き当たる壁なのです。

問題解決のプロセスは、一直線にアイデアが生まれて成果につながるものではありません。
どのチームも、一度は停滞を経験します。
この停滞こそが、次の飛躍の準備段階なのです。

しかし、当の研修生たちにとっては、そんな理屈を理解しても慰めにはなりません。

目の前の紙には重複するアイデア、閉ざされた空気、焦燥感。
彼らは「解決しなければならない」というプレッシャーを強く感じながらも、「解決の糸口が見えない」という現実に押しつぶされそうになっていました。

あるメンバーは、ペンを持つ手を止め、遠くを見つめました。
あるメンバーは、ため息交じりに椅子へ深く座り込みました。

そしてグループの中で笑い声が消え、机上に響くのはペンの先が紙をなぞる小さな音だけとなったのです。

この様子を見て、私は心の中で「ここが正念場だ」と思いました。
リーダーとしての成長に必要なのは、順調にアイデアが出続ける経験ではありません。
むしろ大切なのは、「停滞し、落ち込み、それでもなお突破口を見つける」経験です。

現実の職場でも、課題解決がスムーズに進むことは稀です。
多くの場合、思考は袋小路に入り、感情は沈み、チームは迷います。
その中で立ち上がり、再び歩みを進められる人こそ、真のリーダーと言えるのです。

私はこの状況を「谷底」に例えることがあります。
山を登るとき、最初は体力も気力も十分です。
道も見えていて、仲間と声を掛け合いながら前進できます。
しかしある地点で、体力は消耗し、視界も開けず、前に進んでいる実感が持てなくなります。
これが谷底です。

谷底にいるときは苦しく、諦めたくなる。
しかし実際には、谷を抜ければ視界は開け、山頂への道が見えるようになるのです。
二日目の朝に訪れた停滞は、まさに谷底の瞬間でした。
そして、谷底をどう乗り越えるかこそが、この研修の核心にあるのです。

関連記事:リーダー育成研修│ 【1】行動力 ── 問題解決と安全意識を強化

火を灯す声―身体と心のスイッチ

二日目の停滞を経て迎えた最終日の朝、私は会場の空気を変える必要があると感じていました。

アイデアが出ない苦しさ、繰り返される同じ発想、静まり返る会話
──それらは参加者たちの心と体を重たく縛りつけていました。

このままでは、「問題解決の研修」が「失敗体験の記憶」になりかねません。
彼らに必要なのは、頭脳の知識や技法ではなく、心をもう一度立ち上がらせるためのスイッチでした。

そこで私は、あえて「体を使った介入」を導入することにしました。
「みなさん、立ち上がってください。」
戸惑いの表情を浮かべるメンバーもいましたが、全員が椅子を離れました。

私は深く息を吸い込み、全身に力を込め、腹の底から大きな声を出しました。
その声は会場全体に響き渡り、耳を打ち、床を震わせます。
すると、最初は驚いた表情を見せていたメンバーたちも、次第にその動作を真似し始めました。

不揃いだった声が、次第に大きく、そろっていきます。
全員が同じ動作を繰り返し、声を張り上げるうちに、会場の空気が変わっていきました。

最初は、恥ずかしそうに小さな声を出していた人も、仲間に引っ張られるように次第に大声になっていきます。
力を込めて声を出すことで、身体が熱を帯び、表情筋が動き、気分が高揚していきます。

そのうち、あるメンバーが自虐的な一言を叫びました。
「昨日の自分のアイデア、全部どこかで聞いたことあるやつだったー!」
一瞬、笑いが広がりました。

その笑いはやがて大きな渦となり、別のメンバーが続きます。
「俺、昨日の会話で10回以上“同じじゃない?”って言ったぞー!」
「私のノート、ほとんど同じ単語ばかりで埋まってるー!」

大きな声と動作の繰り返しに「笑い」が重なり、どんよりとした空気が一瞬で晴れ渡ったのです。

まるで焚き火のよう

その場の光景を思い返すと、私はいつも「焚き火」を思い出します。
前夜の雨で濡れてしまった薪は、なかなか火がつきません。
マッチを擦っても、火はすぐに消えてしまう。

しかし、そこに強い息を吹きかけ、仲間が次々と風を送ると、やがて炎は赤々と燃え広がります。
この研修での「声を出す」「同じ動作をする」という行為は、その風そのものだったのです。

最初は小さな火種でしたが、全員が一斉に息を吹きかけるように声を張り上げ、体を動かすことで、燃え広がる炎となりました。

笑いと一体感がもたらす変化

表情は次第に明るくなり、会話量も増えていきました。
「もっとやってみよう!」
「次はこんな風にしたらどう?」
そんな前向きな言葉が自然と飛び交うようになりました。

会場に漂っていた停滞の霧は晴れ、メンバー全員が再び「挑戦者の顔」に戻っていったのです。
このとき私は確信しました。
人は体と声を通じて、気持ちを変えることができる。
しかも一人ではなく、仲間と一緒にやるからこそ、その効果は何倍にもなる。

三日目のパフォーマンス—停滞から躍動へ

こうして迎えた三日目のセッション。
チームは、まるで別もののように生き生きと動き始めました。

昨日まで同じ発想しか出なかったグループが、新しい視点で課題に挑み、次々とアイデアを生み出していきます。
ディスカッションの声は大きく、時には笑いも交えながら活発に進みました。

「その視点はなかった!」
「じゃあ、こう組み合わせたらどうだ?」

メンバーの瞳は輝き、手は止まることなく動き続けました。
最終的に、全てのチームが高いパフォーマンスを発揮し、力強い成果を残すことができたのです。

身体と心のスイッチ

ここで強調したいのは、この変化は「偶然の気分転換」ではなく、人間の心と体の仕組みに沿った必然のプロセスだということです。

全身に力を込め、大きな声を出し、仲間と同じ動作を繰り返す。
これらの行為は、私たちが思っている以上に強力に心を動かします。

人間は、「頭で理解してから行動する」だけの存在ではありません。
むしろ、「行動することで心がついてくる」ことが多いのです。
つまり、この朝の“火を灯す声”は、彼らの心をもう一度立ち上がらせるためのスイッチだったのです。

二日目の停滞を抜け出し、三日目の高いパフォーマンスにつなげたのは、知識や理屈だけではありません。
体を使い、声を出し、仲間と笑い合う。
そのシンプルな行為が、彼らを谷底から引き上げ、再び前へと進ませたのです。


チームビルディング|ナレッジリーン

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科学が語る“昭和的”の真実

三日目の朝に行った「全身に力を込め、大きな声を出し、仲間と同じ動作を繰り返す」という取り組み。
これを聞くと、ある人は「なんだか昭和の根性論みたいだ」と眉をひそめるかもしれません。
「ウチの会社では、このような根性論は、ハラスメントにあたりますので。」と・・・

確かに、一見すると昔の体育会的なノリや、声出し訓練を思い出すような光景です。
しかし、この行為は決して古い時代の遺物ではありません。
むしろ最新の心理学・脳科学の視点から見れば、人間の心を動かし、パフォーマンスを引き出す、極めて合理的な方法なのです。

身体が心を変える―エンボディメント理論

まず注目すべきは、「エンボディメント」と呼ばれる考え方です。
これは、「人間の感情や思考は、身体の動きと深く結びついている」という心理学的な理論です。

たとえば、笑顔を作ると楽しい気持ちになり、背筋を伸ばすと自信が出てくる。
逆に、うつむき、肩を落とす姿勢をとっていると気持ちも沈んでしまう。
こうした現象は実験でも繰り返し確認されています。

研修の場で、大きな声を出すことも同じ仕組みです。
声を張り上げるために腹筋や横隔膜を使うことで、全身に力が入ります。
その行動が、脳にフィードバックされ、「今、自分は力強い状態にある」という感覚を生み出します。
つまり、身体を先に変えることで、気持ちを後から引き上げることができるのです。

声と呼吸が自律神経を切り替える

さらに、大きな声を出すことは、自律神経の働きにも影響を与えます。
声を出すために息を深く吸い込み、一気に吐き出す。
この呼吸のリズムが、停滞していた副交感神経優位の状態から、交感神経を活性化させる方向へと切り替えてくれるのです。

結果として心拍数が上がり、血流が活発になり、脳が「活動モード」に入ります。
つまり、大声は単なる「気合」ではなく、科学的には心身をアクティブな状態に切り替えるスイッチなのです。

仲間と動きを合わせる―シンクロニー効果

次に、「全員で同じ動作を繰り返す」ことにも、科学的な根拠のある効果が期待できます。
心理学ではこれを「シンクロニー効果」と呼びます。
人は、同じ動作やリズムを共有すると、無意識に仲間意識や一体感が高まるのです。

たとえば、合唱団が同じ歌を歌うと心拍数まで同期する、ダンスを一緒に踊ると協力意識が高まる──こうした研究成果は数多く報告されています。

私たちの脳には「ミラーニューロン」という、相手の動作を見ただけで自分も同じように活動する神経が存在します。
この働きが、仲間と同じ行動をすることで「自分はチームの一員だ」という感覚を強めてくれるのです。

研修の場で一斉に大きな声を出し、同じ動きを繰り返す。
それは強制的な統率ではなく、「私たちは一緒に挑んでいる」という感覚を呼び覚ます、心理的な仕掛けとなっています。

笑いが脳をリセットする―情動伝染

そしてもう一つ、忘れてはならないのが「笑い」の力です。
研修中、メンバーが自虐的な発言を大声で叫び、会場が笑いに包まれました。
その瞬間、重苦しい雰囲気は一気に吹き飛びました。

笑いには、脳内にエンドルフィンやオキシトシンといったホルモンを分泌させる作用があります。
これらには、ストレスを軽減し、人と人の信頼感や絆を強める働きがあります。

また、笑いは脳の情報処理をリセットし、固定化された思考をほぐしてくれます。
そのため、笑った後には新しい発想が出やすくなるのです。
つまり、「笑いの渦に包まれる」という出来事も偶然ではなく、創造性を回復させる自然な脳の反応なのです。

「昭和的」ではなく「人間的」

こうした科学的な仕組みを踏まえると、「大声を出す」「同じ動作を揃える」といった行動は決して、「昭和の根性論」ではありません。
むしろ、人間の心と体のメカニズムに根ざした、普遍的で実効性のあるアプローチなのです。

確かに、過去にはこれらが「強制」や「上下関係の象徴」として使われることもありました。
その結果、「古いもの」として敬遠されがちになった面もあるでしょう。
しかし、本来の価値はそこではありません。
正しく意味づけし、納得のうえで実践すれば、現代の組織にとっても大きな力を持つ方法なのです。

まとめ―科学が示す研修の必然性

全身に力を込め、大声を出し、仲間と同じ行動を繰り返す。
そして笑い合う。

このシンプルな行為が、停滞したチームを再び前進させたのは偶然ではありません。
心理学・脳科学・社会科学の観点から見れば、必然の結果だったのです。
つまり、この研修で取り入れた「盛り上げのテクニック」は、昭和的な遺産ではなく、最新の科学が裏付ける、人間理解そのものなのです。

問題解決のサイクルと自己効力感

研修生たちが、この数か月間で繰り返してきたのは、たったひとつのシンプルな流れです。
「問題を検出し、定義し、分析し、改善案を立て、検証する」。
このサイクルを、限られた時間の中で、何度も回してきました。

机上演習では、比較的スムーズに回せていたプロセスも、実際に“問題だらけの教材”を前にすると様相が一変します。
目の前に提示されたのは、矛盾や制約が入り組んだ、現実さながらの課題。
簡単に解けるものは、一つもありません。

チームはまず問題を「検出」しようとしますが、視点の違いから「ここが問題だ」「いや、むしろこちらが本質だ」と意見が分かれます。

次に「定義」に進もうとしても、言葉の整理に時間を取られ、前に進まないこともあります。
やっと合意できたと思っても、分析に移ると新たな要素が浮かび上がり、再び定義に立ち戻る
──そんなこともしばしばです。

こうした「行ったり来たり」こそが、本当の問題解決の現実です。
紙の上で矢印を一方通行に並べた図ではなく、実際には螺旋を描くように、行きつ戻りつを繰り返しながら少しずつ進んでいくのです。

成長の証としての“失敗”

研修生たちは、このサイクルの中で、数え切れないほどの「失敗」を経験します。

•  問題を見誤って枝葉にばかり注目してしまった。
• 定義が曖昧で、解決案が的外れになった。
• 分析の途中で時間を浪費し、期限内に結論を出せなかった。
•  改善案を立てても検証が甘く、再現性がなかった。

最初のうちは、こうした失敗に直面すると、表情も沈みがちでした。
しかし、回を重ねるうちに彼らは気づき始めます。
失敗はプロセスの一部であり、そこから学んだことが次のサイクルを強くするのだと。

「前回の失敗があったから、今回は定義に時間をかけすぎないようにできた」
「分析で詰まったら、一度視点を戻すといいとわかった」
このように、自らの体験を糧に、着実に進化していきました。

関連記事:失敗を強みに変える │ リーダーシップの鍵はレジリエンス

自分のスタイルに気づく

問題解決サイクルを繰り返す中で、研修生たちは「自分のクセ」にも気づいていきます。

ある人は「すぐに結論を出そうとして定義を飛ばしてしまう」傾向があり、別の人は「分析に没頭しすぎて時間を忘れる」癖を持っていました。

「自分は観察は得意だが、言語化が弱い」
「自分は発想は豊富だが、検証の詰めが甘い」

こうした自己認識は、外から指摘されるよりも、自分で気づいたときにこそ強いインパクトを持ちます。
まさに「メタ認知」が育っていく瞬間です。

不足を痛感することの価値

また、多くのメンバーが「知識不足」を痛感しました。
「もし統計の知識があれば、もっと効率的に分析できたのに」
「もし他部署での経験があれば、もっと多角的な視点が持てたのに」

こうした不足感は、単なる反省ではありません。
むしろ「次に学ぶべきことが明確になる」貴重な気づきです。
足りないものを実感したからこそ、研修後に自ら学ぼうとする意欲が湧きます。
これは、キャリア理論の教科書を読むよりも、ずっと力強い「実践的キャリア学習」になると言えます。

自己効力感の獲得

そして、この繰り返しのサイクルの中で最も大きな収穫は、自己効力感です。
「自分たちは、確かに問題を解決できた」
「うまくいかないときもあったが、仲間と力を合わせれば必ず前に進める」
その感覚は、研修生一人ひとりの中に確実に刻まれていきます。

失敗や不足を知りつつも、それを超えて成果を出した経験は、「自分ならできる」という揺るぎない自信につながります。

はじめての自転車

このプロセスを、私はよく「自転車の練習」にたとえます。
子どもが初めて自転車に乗ろうとすると、何度も転びます。
膝を擦りむいたり、悔しくて泣いたりしながら、それでも少しずつバランスを覚えていきます。
やがて一度コツをつかむと、「乗れる!」という確信が生まれ、その瞬間から世界が広がります。

問題解決の研修も同じです。
失敗し、転び、悔しさを味わいながらも、最終的に「解決できた」という体験が彼らの自己効力感を育てます。
そして、一度その感覚を手にした者は、現場に戻っても「自分なら挑める」と思えるようになるのです。

問題解決のサイクルは、単なる技法習得の手段ではありません。

• 失敗を糧にする学び
• 自分のスタイルへの気づき
• 不足から生まれる学習意欲
• そして自己効力感の獲得


これらすべてが積み重なり、研修生を一段上のリーダーへと成長させていくのです。

関連記事:リーダー育成研修│ 【2】分析力 ── なぜなぜ分析12カ条の原理原則

修了式の涙―仲間と気づきの結晶

この研修は、12月に修了式を迎えます。
そこは単なる“最後のセッション”ではなく、数か月にわたる挑戦と学びの結晶が形になる場です。
私は、これまで数多くの修了式を見届けてきましたが、そのたびに会場には独特の熱と感情があふれ、胸を打たれます。

過去の修了式で見られた光景

研修を終えた参加者たちは、一人ずつ前に立ち、これまでの学びを語ります。
マイクを持つ手は震えていても、その声には力が宿り、仲間と視線を交わしながら言葉を絞り出します。

「私は、問題の定義を甘く考えていました。でも、繰り返し失敗する中で、その重要性に気づきました。今は“まず定義する”ことから始められる自分になれたと思います。」

「自分の知識不足を痛感しました。正直、悔しい気持ちにもなりましたが、その悔しさのおかげで、これから何を学ぶべきかが見えました。研修を通して“学びたい自分”に出会えた気がします。」

こうした言葉は、聞いている仲間の胸にも深く響きます。
自分の経験と重ねながら「自分も同じように変われた」と実感するのです。
私も、胸が熱くなりつい涙が・・・

仲間意識が結晶化する瞬間

ある期の修了式では、涙ながらにこう語った参加者がいました。

「なんども停滞を経験して、本当に心が折れそうでした。アイデアが出ず、仲間とも口数が減り……。でも全員で声を出して笑い合ったあの瞬間、“自分は一人じゃない”と強く感じました。仲間がいたから最後まで走り切れた。本当に感謝しています。」

この言葉に会場は静まり返り、次の瞬間、大きな拍手が巻き起こりました。
その拍手は一人のためだけではなく、その場にいた全員が共有した体験と感情への共鳴でした。

涙が意味するもの

過去の修了式では、多くの参加者が涙を流します。
それは単なる感動の涙ではなく、いくつもの感情が交錯した証です。

• 努力を積み重ねた自分を認める涙
• 仲間と共に乗り越えた一体感の涙
•  新しい自分の可能性を知った喜びの涙

これらの涙は、彼らが「本気で挑み、変わった」ことの最も正直な表現なのです。

修了式を見ていると、いつも「宝石が生まれる瞬間」を思い浮かべます。
もともと形の定まらない石が、地球の強い圧力と時間を受け、やがて輝きを放つ宝石になる。
研修という圧力の中で、悩み、迷い、時には挫折しかけたメンバーが、最後に仲間と涙を流す瞬間、それは彼ら自身が輝く存在へと変わった瞬間なのです。

過去の宣言

修了式の最後には、必ず「未来への一歩」が語られます。

「改善提案を恐れず、まずはやってみます」
「チームの対話を増やして、みんなの意見を引き出せるリーダーになります」
「研修で学んだ自己効力感を、現場で成果に変えます」

こうした宣言は、仲間の前で発表することで、言葉以上の重みを持ちます。
研修で築いた仲間意識が、未来への約束を強固にするのです。

修了式の力

過去の修了式を振り返ると、そこはやはり「締めくくり」ではなく「新たな始まり」でした。

• 自分の成長を自覚する場
•  仲間との絆を再確認する場
•  未来への行動を誓う場

その三つがそろうことで、研修で得た学びは「記憶」ではなく「原点」となります。


涙と共に刻まれた体験は、現場で困難に直面したときの心の支えとなり、再び立ち上がる力を与えてくれるのです。

未来のリーダーを育てる“肥沃な土壌”

リーダーは、一夜にして育つものではありません。
種を蒔き、水を与え、風に揺れ、嵐を耐えながら根を張り、やがて大樹となります。
次世代リーダー研修は、その成長を支える「肥沃な土壌」としての役割を果たしてきました。

この研修の成果は、数字にも表れています。
過去の期生たちは、修了後に現場の改善に挑み、毎年のように「ムダを半分以下にする」成果を出してきました。

これは単なる効率化ではなく、若手が自ら考え行動し、仲間を巻き込み、組織を動かした証です。
この研修で育つのは「問題解決ができる人材」ではありません。

• 失敗を恐れず挑戦する勇気を持った人材
• 仲間と協力し、対話を通じてチームを動かすリーダー
• 自ら学び続ける姿勢を持った人材

こうした人材こそ、変化の激しい時代に組織を支える柱となります。
また、取り入れている手法は、科学に裏打ちされています。

• エンボディメント理論(身体と感情のリンク)
• シンクロニー効果(同調による一体感)
• 情動伝染(笑いと創造性の回復)

これは古い精神論ではなく、人間の本質に根ざした実践です。
修了式で流れる涙は、過去を締めくくるものではなく、未来への誓いを象徴します。

「次世代リーダーを育てたい」
「若手の主体性を引き出したい」
「現場で成果を出せる人材を増やしたい」
──そう願う企業にとって、この研修はまさに肥沃な土壌となるでしょう。

あなたの組織でも、この体験を若手に用意してみませんか。
未来のリーダーは、ここから育ちます。
そしてその成長は、必ず組織全体の力となって返ってくるのです。

今月の次世代リーダー研修。

私も、腹の底から声を出し、全身の筋肉に力を入れる真剣に20代30代に合わせた「本気」を私も全力で出してみました。
すると…これまでリスクを恐れて正解だけを探していた彼らが、目の輝きが変わり、言葉に力が宿り、姿勢までピン!
会場全体がスイッチONになった瞬間でした。

終わった私はクタクタ。
もはや「本気を見せる筋トレ」状態です(笑)。
でも、その疲れの分だけ若手の未来が動いたのなら、やってよかったなと心から思います。

結局ね、世代ギャップを埋めるのは「若い奴らが変われ!」じゃなくて、年上が先に動くことなんだと実感しました。
そんな気付きもありましたよ。
全身筋肉痛と喉がいたいですが・・・・・

最後までありがとうございました。


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マネジメントコンサルティング部 部長
坂田 和則

国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。

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