22分0秒のステージが教えてくれたこと|QC七つ道具の可能性
22分0秒のステージが教えてくれたこと
QC七つ道具は、ものづくりだけの道具ではない
「QC七つ道具」と聞くと、多くの方は品質管理やものづくりの現場を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それは間違いではありません。
けれど私は、QC七つ道具を「品質管理の道具」とだけ捉えてしまうのは、とてももったいないと思っています。
なぜなら、その背景にある原理原則を押さえれば、QC七つ道具は業種や職種を問わず、仕事のあらゆる場面で使える“思考道具”になるからです。
ばらつきを見る。
偏りを見る。
事実を集める。
関係性を見る。
原因を分解する。
優先順位を決める。
変化を追いかける。
これらは、ものづくりだけの話ではありません。
営業でも、人財育成でも、会議運営でも、安全活動でも、講演でも、研修でも使えるはずです。
今回は、私自身の少し昔の話から、そのことをお伝えしたいと思います。
600人ホールに、20人。そこで始まった「場づくり」の原点
40年ほど前の話です。
私は、初めて600人収容のホールでバンド出演をしました。
ギターが2人、ベースが1人。フォークグループでした。
バンド名は、CATTY。これで「キャティー」と読みます。
こう書くと、なんだか格好よく聞こえるかもしれません。
「600人収容のホールで初ステージですか。坂田さん、若い頃からスターだったんですね」と思われるかもしれません。
いやいやいやいや。そこは、ちょっと待ってください。
ホールは確かに大きかったんです。600人入るホールでした。
でも、私たちCATTYの出番のとき、客席にいたのは、たぶん20人くらいでした。
600人収容のホールに、20人。広い。とにかく広い。音は響く。
でも、客席はポツン、ポツン。
今なら笑って話せますが、当時の私は真剣でした。
多くのアマチュアバンドが順番にステージへ立つイベントで、私たちCATTYに与えられた時間は22分間でした。
22分間。
短いようで、意外と長い。
長いようで、油断すると一瞬で終わる。
歌と演奏をする。もちろん、それが本番です。
でも、当時の私は思ったんです。
「歌と演奏だけでは、ちょっとインパクトが弱いかもしれない」と。
まあ、今考えると、なかなか生意気です。
客席20人くらいの600人ホールで、何をインパクトとか言っているのか。
若いって怖いですね。
でも、そのときの私は本気でした。
せっかく22分間という時間をいただいた。
だったら、ただ歌って演奏して終わるだけではなく、少しでもお客様の印象に残る時間にしたい。
そこで、トークを入れることにしました。
しかも、笑いを誘う系のトークです。
今の私が研修や講演で、ストーリーを入れたり、笑いを入れたり、聞き手の反応を見ながら場を温めようとする原点は、もしかするとこのあたりにあったのかもしれません。
人は、内容だけを受け取っているのではありません。
その場の空気、間、表情、声の温度、少し笑える瞬間、そうしたものと一緒に記憶しているのです。
歌は時間が読める。でも、トークはばらつく
ここで、一つ問題が起きます。歌は時間が読めます。テンポが決まっている。構成が決まっている。1曲が何分くらいかも分かる。多少の揺れはあっても、だいたい読める。
ところが、トークは違います。
会場の空気で流れが変わる。
笑いが起きれば、間が生まれる。
反応が薄ければ、次の言葉を探す。
少しウケると、もう一言足したくなる。
逆に、シーンとなると、早く次に行きたくなる。
つまり、トークはばらつくんです。
私たちに与えられた時間は22分間。
歌と演奏だけではインパクトが弱い。だからトークを入れたい。
でも、トークを入れると時間が読みにくくなる。
さて、どうするか。
本番までの二週間、私はそればかり気になっていました。
時間さえあれば、頭の中でトークの練習をしました。
おそらく、何百回もやったと思います。
歩いているときも、寝る前も、ちょっとした空き時間も、頭の中でステージを回す。
ここでこの曲。
ここでトーク。
ここで笑いを入れる。
ここで次の曲につなぐ。
最後はこう締める。
そんなことを繰り返していました。
不思議なもので、何百回も繰り返していると、ばらつきが見えてくるんです。このパターンだと、1分超過する。
これは、2分短い。
うーん、今度は10秒オーバー。
そうやって繰り返しながら、トークのパターンを変えていきました。
言葉の量を変える。
間を変える。
笑いを入れる位置を変える。
切り上げるポイントを変える。
適正時間に収まるように、自分の中の感覚を整えていく。
そして、本番の日を迎えました。
22分0秒。偶然ではなく、感覚を整えた結果だった
結果として、私たちCATTYのステージは、22分0秒だったそうです。
22分0秒。
今でも、不思議に思います。
もちろん、偶然もあったと思います。
でも、たぶん完全な偶然ではなかったのでしょう。
本番前の二週間で、私は頭の中で何百回もステージを回していました。
その中で、時間のばらつきを見ていた。
パターンを変えていた。適正時間を狙っていた。
つまり、感覚を整えていたのだと思います。
今振り返ると、あのときの私の頭の中は、まさにQCの七つ道具でした。
もちろん当時、頭の中にパレート図を書いたわけでも、管理図を引いたわけでもありません。
でも、やっていたことは、まさにその原理でした。
時間のばらつきを感じる。
パターンごとの違いを見る。
超過する原因を考える。
短すぎる原因を考える。
言葉の量、間の取り方、笑いの位置を変える。
そして、22分という適正時間に近づける。これは品質管理の授業ではありません。でも、品質管理の原理そのものです。
ここが、私がとても大切にしているところです。
QC七つ道具の本質は、表やグラフを作ることだけではありません。
もちろん、それらは大切です。
しかし本質は、見えにくいものを見えるようにし、ばらつきや偏りに気づき、原因を考え、次の行動につなげることにあります。
そう考えると、QC七つ道具は工場の中だけにあるものではありません。
人が何かを観察し、整え、よりよくしようとする場面すべてに、QC的な思考は存在しているのです。

「ものづくりの道具でしょ」で止まる人、「原理は何か」と考える人
QC七つ道具というと、多くの方は「品質管理に使うもの」と考えるかもしれません。
あるいは、「ものづくりの現場で使う道具でしょ」と思うかもしれません。
もちろん、それは間違いではありません。
QC七つ道具は、品質管理の現場で、不良を減らし、ばらつきを見える化し、原因を追求し、改善につなげるために活用されてきました。
チェックシート、パレート図、特性要因図、ヒストグラム、管理図、散布図、層別。こうした道具は、製造現場や品質管理の場面で大きな力を発揮します。
でも、私はこう思うのです。
QC七つ道具を「品質管理の道具」とだけ捉えてしまうのは、少しもったいない。
なぜなら、QC七つ道具の本質は、グラフを書くことではないからです。
製造業だけで使うことでもないからです。
本質はもっと深いところにあります。
ばらつきを見る。偏りを見る。事実を集める。関係性を見る。原因を分解する。優先順位を決める。変化を追いかける。そして、次の一手を考える。これは、ものづくりだけの話でしょうか。違いますよね。
営業活動でも使えます。
会議運営でも使えます。
人財育成でも使えます。
安全活動でも使えます。
1on1でも使えます。
研修設計でも使えます。
生成AIへの問いづくりにも使えます。
そして、40年前のフォークグループCATTYの22分間にも、使われていたのです。
私は当時、QC七つ道具を使っているつもりはありませんでした。
しかし、時間のばらつきを感じ、パターンを変え、適正時間に近づけていった。
これは、まさに原理原則を使っていたのだと思います。
ところが、道具の名前で止まってしまう人がいます。
「QC七つ道具?それは品質管理の人が使うものでしょ」「製造業の話ですよね」「うちは事務職だから関係ありません」「営業には使えません」「人財育成には関係ないでしょう」
こうやって、使う前から適応除外してしまう。
私は、ここに強い違和感があります。
もちろん、すべての道具を何にでも無理やり当てはめればいい、という話ではありません。
無理なこじつけは、かえって現場を混乱させます。
しかし、使う前から「うちには関係ない」と決めてしまう。
背景や原理原則を見ようとしない。
自分の仕事に置き換えようとしない。
これは、学びと思考を止めてしまった状態ではないかと思うのです。
適応除外は、学びの入口で扉を閉める行為である
心理学や認知科学の視点で見ると、これは「機能的固着」に近い状態とも言えます。
ある道具や考え方を、過去に使われてきた用途だけで見てしまい、別の使い方を考えにくくなる。
ハンマーは釘を打つもの。だから、重しとして使う発想が出ない。
QC七つ道具は品質管理のもの。だから、会議や人財育成に使う発想が出ない。
人は、物事そのものを見ているようで、実際には自分が貼ったラベルを通じて見ています。
「これは自分に関係ある」「これは自分に関係ない」「これは使えそう」「これは専門外」「これは古い」「これは難しい」
こうした認知ラベルが、学びの入口を開いたり、閉じたりします。
だから私は、研修やセミナーで何かを伝えるとき、最初にこのラベルを揺さぶることを大切にしています。
「今日はQC七つ道具を、品質管理の道具としてだけ見ないでください。ばらつき、偏り、原因、関係性、優先順位を見抜くための思考道具として見てください」こう伝えるだけで、聞き手の頭の中で、少し見え方が変わります。
これはNLPやLABプロファイルの考え方にも通じます。
人は、言葉に反応しているようで、実際にはその言葉に自分が与えた意味に反応しています。
だから、「QC七つ道具」という言葉に「品質管理だけ」という意味を貼っている人には、まずその意味づけを少し広げてもらう必要があるのです。
そのときに効くのが、ストーリーテリングです。
いきなり「QC七つ道具とは」と説明しても、聞き手の頭の中では、品質管理の教科書が開くだけかもしれません。
でも、600人収容のホールに20人くらいのお客様。フォークグループCATTY。持ち時間22分。笑いを誘うトーク。二週間で何百回も頭の中でシミュレーション。そして本番は22分0秒。こういう話をすると、聞き手の頭の中に映像が立ち上がります。
「あれ?これって品質管理の話じゃないのに、ばらつきを見ているよね」「これって、仕事の時間管理にも使えるかもしれない」「会議の進行にも似ているな」「部下指導でも、伝わり方のばらつきってあるよな」
この瞬間、学習の転移が起きます。
教育心理学では、ある場面で学んだことを、別の場面に活かすことを「学習の転移」と言います。
私は、人財育成において、この転移がとても大切だと考えています。
教えられた場面でしか使えない知識では、変化の時代には弱いのです。
これからの時代に必要なのは、知識を知っている人ではありません。
知識の原理をつかみ、自分の現場に合わせて使い直せる人です。
経営者・管理職・人財開発担当者に問いたいこと
経営者や管理職、人財開発、組織開発を担当する方に、私は問いかけたいのです。
あなたの組織では、どちらの人財を育てたいでしょうか。
「それはうちには関係ありません」「それは製造業の道具でしょ」「自分の仕事には使えません」と、使う前から適応除外する人財でしょうか。
それとも、「この道具の原理は何だろう」「うちの仕事なら、どこに応用できるだろう」「まず小さく試してみよう」「使ってみて、ばらつきを見て、少し変えてみよう」と、適応を模索できる人財でしょうか。
私は、これからの時代に必要なのは、後者だと思っています。
VUCA時代。DX時代。生成AI時代。
答えが最初から用意されているわけではありません。
新しいツールが出てくる。新しい仕事の進め方が出てくる。お客様の価値観が変わる。若手の学び方も変わる。現場の課題も複雑になる。
そのたびに、「これは関係ない」と適応除外していたら、組織の学びは止まります。
もちろん、何でもかんでも飛びつけばいいという話ではありません。
流行っているからやる。他社がやっているからやる。世間が言っているからやる。これも危険です。大切なのは、原理原則を見ることです。
何のための道具なのか。どんな現象を見るためのものなのか。どんな判断を助けるものなのか。どんな行動につなげるものなのか。自分たちの現場なら、どこに応用できるのか。逆に、どこには合わないのか。
ここを考える力が、これからの人財には必要です。

では、適応を模索できる人財をどう育てるのか
では、そのような人財をどう育てるのか。
私は、知識を教えるだけでは足りないと思っています。
もちろん、知識は必要です。
QC七つ道具であれば、それぞれの道具の使い方を学ぶことは大切です。
パレート図とは何か。特性要因図とは何か。ヒストグラムとは何か。管理図とは何か。そうした基礎は必要です。でも、それだけでは「知っている人」は育っても、「使える人」は育ちません。さらに言えば、「使える人」は育っても、「使い直せる人」までは育たないかもしれません。
私が育てたいのは、道具を暗記する人ではありません。
道具の原理をつかみ、自分の仕事に適応を模索できる人財です。
そのために、私はまず体験から入ることが多いです。
いきなり理屈を説明するのではなく、身近な場面で「ばらつき」「偏り」「原因」「優先順位」が見える体験をしてもらう。
うまくいかないことも体験してもらう。
なぜうまくいかなかったのかを考えてもらう。
自分たちで原因を追求し、次の打ち手を考えてもらう。
これは、私が次世代リーダー研修や問題解決研修で大切にしているところです。
私は、研修の場で、ただ正解を教えることにあまり興味がありません。
もちろん、必要な知識は伝えます。
でも、それ以上に大切にしているのは、受講者が自分の頭で考え、自分の言葉で気づき、自分の現場に持ち帰れる状態をつくることです。
そのために、問いを使います。ストーリーを使います。笑いも使います。時には身体を動かすワークも使います。NLPやコーチング心理学、行動科学、認知心理学の知見も使います。
LABプロファイル的に、相手がどのような言葉で動きやすいのかも見ます。
そして、場の空気を見ながら、説明の順番を変えることもあります。
私が大切にしているのは、相手を責めないことです。
「なぜ分からないんですか」「なぜ考えないんですか」「なぜ応用できないんですか」こう言われたら、人は防衛します。防衛している人は、学びません。
だから、私はできるだけ、こういう入口をつくります。
「私も若い頃は、知らない道具を見ると、自分には関係ないと思うことがありました。でも、現場でいろいろな問題にぶつかると、だんだん分かってくるんです。道具の名前ではなく、原理を見ないと損をするんだな、と」。
人は、責められると閉じます。
でも、寄り添われると少し開きます。
少し開いたところに、問いを入れる。
すると、自分で考え始めます。
現場のばらつきは、個人のやる気不足では片づけられない
現場の人を責めない。
若手を責めない。
管理職を責めない。
でも、問いは鋭くする。
これが私の基本姿勢です。
「皆さんの仕事の中に、ばらついているものはありませんか?」
「会議で発言している人に偏りはありませんか?」
「新人がつまずくポイントは、いつも同じではありませんか?」
「改善提案が出る部署と出ない部署の違いは何ですか?」
「安全パトロールで、見えているリスクと見えていないリスクはありませんか?」
「生成AIへの質問の質に、ばらつきはありませんか?」
こう問いかけると、QC七つ道具は一気に身近になります。
品質管理の道具ではなく、自分たちの仕事を見るための道具になるからです。
あなたの職場では、どんな「ばらつき」が見えていますか。
発言する人のばらつき。理解度のばらつき。改善提案数のばらつき。安全意識のばらつき。指導の質のばらつき。若手が挑戦できる空気のばらつき。上司が受け止める姿勢のばらつき。
そのばらつきを、個人のやる気不足として片づけていないでしょうか。
「最近の若手は」と言って終わらせていないでしょうか。
「うちの会社は昔からこうだから」と、適応除外していないでしょうか。
もし、少しでも心当たりがあるなら、そこに人財育成の入口があります。
人は、道具の名前で学ぶのではありません。
道具の原理に気づいたとき、自分の仕事に置き換え始めます。
そして、置き換え始めたとき、人は少しずつ変わります。「うちには関係ない」から、「もしかすると、ここに使えるかもしれない」へ。
この変化は、小さいようで大きいのです。組織の成長は、こうした小さな認知の変化から始まります。
そして、その変化を生み出すのが、経営者であり、管理職であり、人財開発であり、組織開発を担う人たちの役割ではないかと思うのです。
今でも私は、講演前に必ずシミュレーションする
私は、今でもセミナーや講演の前には、必ず頭の中でシミュレーションをしています。
これは、40年前のCATTYの22分間から、今も続いている私の習慣です。
ただし、一字一句を暗記するためではありません。
この話は本当に必要か。この順番で伝わるか。このストーリーなら、聞き手の頭の中に映像が立ち上がるか。ここは話さなくても伝わるのではないか。ここを削っても、意味は残るのではないか。ここで笑いが起きたら、どこで戻すか。ここで反応が薄ければ、どの事例に切り替えるか。そんなことを、何度も考えています。
慣れてくると、不思議なもので、削れる部分が見えてきます。話さなくても伝わるところ。逆に、短い一言を足すだけで一気に意味が立ち上がるところ。笑いを入れた方が空気がやわらぐところ。あえて沈黙を置いた方が、聞き手の思考が動くところ。私は、ここで思考を止めたくないのです。
資料があるから大丈夫。何度も話しているから大丈夫。経験があるから大丈夫。そう思った瞬間、伝える力は鈍ると思っています。なぜなら、同じテーマでも、聞き手は毎回違うからです。会場の空気も違う。表情も違う。反応も違う。抱えている悩みも違う。だから、私は今でもシミュレーションします。
よく、コンサルタントの方や、講演でご一緒させていただく先生方から、こんなふうに声をかけていただくことがあります。「坂田さん、時間ピッタリですね」ありがたい言葉です。でも、私の中では少しだけ思うわけです。
そりゃそうです。こちらは40年前、CATTYというフォークグループで、22分間のステージを22分0秒で終えた人間ですから。……と、少し偉そうに言ってみましたが(笑)。もちろん、時計をチラチラ見て、機械的に合わせているわけではありません。話の構造、場の反応、笑いの間、削れる部分、膨らませる部分を身体で感じながら、時間感覚を整えているのです。
「鍛える」とは、根性論ではなく感覚を整えること
私はこれを、原理原則で鍛えた時間感覚だと思っています。
ただ、最近は「鍛える」と言うと、少し嫌がられることがあります。
「昭和じゃないんだから」「根性論ですか?」「今どき、鍛えるって言います?」。そんな声が聞こえてきそうです。でも、私が言う「鍛える」は、怒鳴ることでも、我慢させることでも、無理やりやらせることでもありません。
繰り返し体験する。ばらつきを感じる。自分の中に基準をつくる。その基準をもとに、次の行動を少し変える。そして、本番で再現できるように感覚を整える。これを、私は「鍛える」と呼んでいるだけです。
言い換えれば、実践を通じて再現性を高める、ということです。
あるいは、自分の中に基準を育てる、と言ってもいいかもしれません。
場に応じて調整できる身体知をつくる、と言ってもいいでしょう。
人それぞれ、鍛え方はあると思います。私のやり方が、すべての人に合うとは思っていません。ただ、私の場合は、40年前のCATTYの22分間から、今のセミナーや講演まで、ずっと同じようなことをしてきたのだと思います。
頭の中で何度も回す。ばらつきを見る。削るところを削る。足すところを足す。そして、本番では、場の空気を感じながら整えていく。これを、私は「原理原則で感覚を育てる」と捉えています。
少し昭和っぽく言えば「鍛える」なのかもしれません。でも、根性論ではありません。自分の中に基準を持つ。その基準を、実践の中で少しずつ磨いていく。そして、目の前の人に届くように整える。そんな感覚です。
そして、この感覚は、講演だけでなく、仕事のあらゆる場面で必要になります。会議の進め方。部下への説明。安全活動の声かけ。改善提案の支援。新人教育。1on1。生成AIへの問い方。お客様への提案。どれも、知識だけではうまくいきません。実際に使ってみて、反応を見て、ばらつきを感じて、少しずつ整えていく必要があります。
あなたの職場にも、まだ見えていない「22分0秒」がある
だから、私は思うのです。これからの人財育成に必要なのは、昭和型の根性論ではありません。
でも、だからといって、練習も反復も不要という話ではありません。
必要なのは、原理原則を理解し、体験を通じて感覚を整え、現場で再現できる力を育てることです。
QC七つ道具は、ものづくりだけの道具ではありません。
ばらつきを見て、偏りに気づき、原因を考え、次の一手を決めるための思考道具です。
そして、その思考道具は、講演にも、研修にも、会議にも、人財育成にも、きっと使えるはずです。
あなたの組織では、どちらの人財を育てたいでしょうか。
使う前から適応除外する人財でしょうか。
それとも、原理原則をつかみ、自分の現場に合わせて適応を模索できる人財でしょうか。
私は、後者を育てたい。
そのために、これからも現場に出て、受講者の表情を見て、問いを投げ、笑いを入れ、時には失敗も一緒に味わいながら、学びが行動に変わる瞬間をつくっていきたいと思っています。
40年前、600人収容のホールに20人ほどのお客様。
フォークグループCATTYの22分間。
あのステージは、私にとって、ただの青春の思い出ではありませんでした。
ばらつきを見て、感覚を整え、限られた時間の中で人に届ける。
その原点だったのかもしれません。
もし、この話に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
そして、あなたの職場でも、少しだけ考えてみてください。
今、目の前にあるその道具。その知識。その学び。
本当に、あなたの仕事には関係ないのでしょうか。
それとも、まだ見えていないだけで、どこかに適応できる可能性が眠っているのでしょうか。
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国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。