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問い力が未来を変える|生成AI時代の次世代リーダー育成の前提条件

目次

生成AI時代の次世代リーダー育成〜答えを探す前に「問い力」を育てる〜

生成AIが一気に身近になりました。
文章を作る、要約する、アイデアを出す、資料のたたき台を作る。
少し前なら何時間もかかっていた作業が、数分で形になる時代です。
便利です。
ほんとうに便利です。
私も仕事の中で生成AIを使いますし、研修設計、講演準備、問題解決の整理などに活用しています。

一方で、20代、30代の次世代リーダーの皆さんの中には、
「生成AIを使いこなせと言われても、何をどう聞けばいいのかわからない」
と感じている方もいるのではないでしょうか。
経営者や管理職の皆さんも、
「若手に生成AIを使わせれば、本当に考える力は育つのだろうか」
「AI時代の人財育成、人材育成として、何を教えればよいのだろうか」
と感じているかもしれません。

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私も、生成AIを使えば使うほど、ひとつのことを強く感じています。
これからの時代に本当に必要なのは、AIに答えを出してもらう力だけではないということです。
むしろ大切なのは、AIに何を問うのか。
どのように問いを立てるのか。
出てきた答えを、現場や人の行動につながる言葉に変えられるのか。
ここではないかと思うのです。

つまり、生成AI時代に必要なのは、単なるプロンプト技術ではなく、「問い力」です。
答えを探す前に、問いを磨く力。
問題解決に入る前に、そもそも何を問題として捉えるのかを定義する力。
これが、これからの次世代リーダー育成において、とても大切になってくると感じています。

本を読んでいなかったのではなく、問いが立つのを待っていた

私は、本をかなり買います。
かなり、です。
自分でも「また買ったんかい」と思うくらい買います。
では、その本を全部読んでいるのか。
ここは正直に言います。
読んでいません。
いや、まったく読まないわけではありません。
でも、買った本を最初から最後まで、きちんと読み切る。
そんな立派な読書家ではありません。

買う。
積む。
また買う。
また積む。

いわゆる「積読」です。

ただ、この積読。
私にとっては、単なる“読んでいない本の山”ではありません。
何か疑問が浮かんだとき、私は積んである本のタイトル、帯、表紙をじっと見ます。
すると、ふと思うんです。
「あれ?この本の中に、今の問いへのヒントがあるかもしれない」と。

そこで初めてページをめくります。
最初から読もうとはしません。
今、自分が何を知りたいのか。
何に引っかかっているのか。
目の前の相手に、どんな言葉を届けたいのか。
それを決めてから、答えになりそうなところだけを探して読むのです。

私自身は、このような学び方をずいぶん長く続けてきました。
遠回りもしました。
失敗もしました。
読んだつもりになったこともありますし、わかったつもりで現場に出て、あとから「ああ、そういうことではなかったのか」と気づいたこともあります。
それでも、そうした経験の積み重ねが、今の私の仕事に大きく影響しているのは間違いありません。

私は、コンサルタント、研修講師、講演家として21年ほど活動してきました。
製造業を中心に、
改善、
問題解決、
安全、
品質、
ISO、
組織づくり、
心理的安全性、
コミュニケーション、
新5S思考術、
次世代リーダー育成など、
さまざまなテーマで企業様と関わってきました。
年間では3,400名を超える方々の前で、研修、講演、講話、ファシリテーションなど、何かしら話をしています。

でも、私はいつも思っています。
私は、何か特別な答えを持っている人間ではありません。
むしろ、答えを急がないようにしている人間です。
これは、かっこよく言っているのではありません。
現場で早く答えようとして、かえって本質からズレる怖さを、何度も見てきたからです。

お客様の質問には、すぐに答えないことがある

お客様から質問を受けたとき、私はすぐに答えないことがあります。
まず、その質問を一度、自分なりに定義し直します。
「つまり、それはこういうことを知りたいということですか?」
「今、困っているのは、この部分ですか?」
「本当に確認したいのは、ここですか?」
「この問題は、現象の話ですか?原因の話ですか?それとも、相手にどう動いてほしいかという話ですか?」
そんなふうに、質問の形を整えます。

可能であれば、相手にも確認します。
「私の理解では、こういう問いに聞こえました。合っていますか?」と。
これは単なる確認ではありません。
相手に対する敬意でもあります。
こちらが勝手に解釈して、勝手に答えを押しつけないためです。
コンサルタントや研修講師は、ともすると“答える人”になりがちです。
でも私は、まず“問いを一緒に整える人”でありたいと思っています。

相手の困りごとを、相手と一緒に見える形にしていく。


ここから、本当の対話が始まると思っているからです。
お客様の質問には、言葉になっている部分と、まだ言葉になっていない部分があります。
「若手が育たない」という質問の奥には、「どう関わればよいのかわからない」という管理職の悩みがあるかもしれません。
「改善提案が出ない」という言葉の奥には、「発言しても受け止めてもらえない」という職場の空気があるかもしれません。

だから、私はすぐに答えを出す前に、問いを整えたいのです。

これは、問題解決力の基本でもあります。
問題解決は、いきなり原因分析から始めるものではありません。
まず、何が問題なのかを定義する。
現象をよく見る。
相手の困りごとを確認する。
ここを急ぐと、どれだけ立派な分析をしても、答えはズレてしまうのです。

科学的に見ると、問いは記憶を呼び戻す手がかりになる

不思議なことに、質問を定義し直している間に、私の頭の中ではいろいろな記憶が動き始めます。
昔、部分的に読んだ本の記憶。
講義で使った事例。
現場で見た違和感。
若手社員がつまずいた瞬間。
管理職が言葉に詰まった場面。
品質トラブルの背景にあった思い込み。
安全活動が形骸化していた職場の空気。
それらが、頭の中でつながり始めるのです。

自分では「覚えている」と意識していません。
でも、問いが整ってくると、言葉が出てくる。
現場で相手に伝えながら、自分でも「あれ?この言葉、どこから出てきたんだろう」と思うことがあります。
そして後になって、積んであった本を開くと、「ああ、ここに書いてあったことを、あの時、私は話していたんだ」と気づくこともあります。

このような経験は、決して神秘的な話ではありません。
認知心理学の視点から見ると、かなり説明できます。
人間の記憶は、パソコンのフォルダのように、きれいに名前をつけて保存されているわけではありません。
経験、感情、場所、言葉、問い、相手の表情、読んだときの関心。
そうしたものと結びつきながら、頭の中に残っています。

だから、思い出すときも、ただ「思い出そう」としても出てこないことがあります。
でも、似た文脈や、似た問いが立ち上がると、記憶が呼び戻されやすくなります。
思い出すためのきっかけ、いわば「検索手がかり」が働くのです。
つまり、私がお客様の質問を定義し直している時間は、単なる会話の前置きではありません。
私の頭の中で、記憶の検索条件を整えている時間でもあるのです。

「これは何の問題なのか」
「どの視点で見ればよいのか」
「相手は本当は何に困っているのか」
と問いを整えることで、
過去に読んだ本、経験した現場、学んだ理論、失敗した記憶、うまくいった事例が、関連づいて立ち上がってくる。

これが、問題解決力やコンサルティング力の土台になっているのだと思います。

もうひとつ、専門家の思考には「チャンク化」という働きがあります。


チャンクとは、バラバラの情報を意味のある固まりとして扱うことです。
新人の頃は、品質、設備、安全、人、教育、ルール、コミュニケーションが、別々のものに見えます。
でも、経験を重ねると、それらがつながって見えてきます。

たとえば、ある現場で不良が出たとします。
新人の頃なら「作業ミスですかね」で終わるかもしれません。
でも、経験を積むと、
作業標準はあるのか、
標準は守れる形になっているのか、
教育は一回説明しただけで終わっていないか、
作業者は違和感を言える職場か、
管理者は質問しやすい雰囲気をつくっているか、
急ぎすぎて確認を飛ばす空気はないか、
そもそも何を問題として定義しているのか、
というふうに見えてきます。

これが、熟達者のパターン認識です。
私は自分のことを大げさに言うつもりはありません。
ただ、21年にわたり、研修、講演、コンサルティングの現場で多くの方々と向き合ってきたことで、こうした見方はかなり鍛えられてきたと思っています。

マインドマップが、私の思考の奥にある

私の学び方には、マインドマップの影響も大きくあります。
私は、トニー・ブザン氏から直接、マインドマップの思考法を教わったことがあります。
これは私にとって、とても大きな学びでした。
マインドマップは、単にカラフルにノートを描く技術ではありません。
中心テーマを置き、そこから枝を伸ばし、関連する言葉やイメージをつないでいく思考法です。

私の本棚も、実はそれに近いのかもしれません。
読んでいない本も、タイトルや帯や表紙が、頭の中では枝の先にあるキーワードになっている。
「問い」が立った瞬間、その枝が光る。
そして、別の枝とつながる。
本棚が外部記憶になり、頭の中のマインドマップとつながる。
そう考えると、積読は単なる怠けではなく、未来の問いに備えた知識の配置なのかもしれません。

もちろん、「読んでないんかい!」と言われたら、まあ、その通りです。
そこは否定できません。
でも、ただ積んでいるだけではない。
未来の自分の問いに答えるために、本を置いている。
必要なときに、必要な知識と出会える状態をつくっている。
本棚そのものが、私の思考の一部になっているのです。

これも科学的に見ると、外部の道具や環境を使って考える「認知的オフローディング」という考え方につながります。
人は、すべてを頭の中だけで処理しているわけではありません。


メモを使う。
図を描く。
本棚を見る。
付箋を貼る。
ホワイトボードに書く。


そうやって、思考の一部を外に置きながら考えています。
私にとって本棚は、まさに思考の外部装置です。

そして、この外部装置としての本棚、頭の中のマインドマップ、現場経験、問いの定義。
この組み合わせが、生成AIを使うときにも大きく役立っています。

生成AI活用で差が出るのは、プロンプトの前にある

今、生成AIは本当に便利です。
文章を作ってくれる。
要約してくれる。
アイデアを出してくれる。
資料のたたき台も作ってくれる。
しかも速い。
こちらが少し入力すれば、それらしい答えがすぐに返ってくる。
これは本当にすごいことです。

でも、ここで大事なことがあります。
生成AIは、問いが浅いと浅く返ってきます。
問いが曖昧だと、曖昧に返ってきます。
問いがずれていると、ずれたまま、もっともらしい答えを返してきます。
ここが怖いのです。
「それっぽい答え」が出てくるからです。
でも、現場は「それっぽい答え」では動きません。
人も「それっぽい言葉」では変わりません。
組織も「きれいな資料」だけでは強くなりません。

たとえば、「改善したいです。どうすればいいですか?」と生成AIに聞くこともできます。
でも、それでは広すぎます。


改善したいのは何か。

品質なのか。
安全なのか。
生産性なのか。
人の意識なのか。
職場の空気なのか。
若手の主体性なのか。
管理職の関わり方なのか。
問題定義そのものがズレているのか。


ここを考えずにAIへ投げると、答えは出ます。
でも、現場で使える知恵にはなりにくい。

一方で、こう問い直したらどうでしょうか。
「この職場では、若手が改善提案を出さないことが問題に見えています。しかし、知識不足ではなく、発言しても受け止めてもらえないという学習経験が背景にある可能性があります。心理的安全性、管理職の問いかけ、問題解決教育の観点から、次世代リーダー向けに整理してください」。
こう聞くと、AIの答えは変わります。

さらに、「20代、30代の次世代リーダーが、自分ごととして受け止められるように、上から目線ではなく、現場で感じるモヤモヤから入り、最後は行動したくなる文章にしてください」と条件を整えると、AIは単なる文章作成機ではなく、思考の共同編集者になります。

私は、生成AIの使い方で差が出るのは、プロンプトの小手先ではないと思っています。
もちろん、プロンプトの書き方は大切です。


条件を明確にする。
対象者を示す。
目的を伝える。
文体を指定する。
制約を与える。

これらは必要です。
でも、もっと根っこにあるのは、問いを定義する力です。

次世代リーダーに必要なのは、AIに負けない力ではない

20代、30代の次世代リーダーの皆さんに、ぜひ伝えたいことがあります。
これからの時代、答えをたくさん知っていることだけでは、強みになりにくくなります。
なぜなら、答えらしきものは、生成AIがすぐに出してくれるからです。
もちろん、知識は大切です。
基礎知識がなければ、AIの答えが正しいのか、現場に合うのか、判断できません。
でも、知識を持っているだけでは足りない。

これから大事になるのは、何を問題として捉えるのか、どこに違和感を持つのか、誰のために考えるのか、何を確認すべきか、どの視点から見れば現象の意味が変わるのか、出てきた答えをどう現場の行動につなげるのか、ここです。

「考えろ」と言われても、どう考えればよいのかわからないことがあります。
「主体的に動け」と言われても、何を見て、何を判断し、どこから動けばよいのかわからないことがあります。
これは、やる気がないからではありません。
問い方を教わっていないだけかもしれないのです。
自分の違和感を問題として定義する経験が少ないだけかもしれないのです。

VUCAの時代と言われます。


変動性、不確実性、複雑性、曖昧性。
たしかに、世の中は読みづらくなっています。


市場は変わる。
技術は変わる。
人の価値観も変わる。


昨日まで正解だったことが、明日も正解とは限らない。
さらに、生成AIの進化によって、シンギュラリティという言葉も、以前より身近に聞こえるようになりました。
AIが人間の知的作業をどこまで支援するのか。
あるいは、どこまで置き換えるのか。
仕事はどう変わるのか。
人は何を学べばよいのか。
不安になる気持ちもわかります。

でも私は、こう思っています。
AIが進化すればするほど、人間にしかできないことが、むしろはっきりしてくる。
それは、AIより速く答えることではありません。
AIより物知りになることでもありません。
人の痛みを感じること。
現場の違和感に気づくこと。
相手の言葉にならない困りごとを受け止めること。
問いを立て直すこと。
意味を見出すこと。
そして、答えを人の行動につながる言葉へ変えること。ここに、人間の価値があります。

次世代リーダーに必要なのは、AIを怖がることではありません。


AIに丸投げすることでもありません。
AIを使いながら、自分の問いを磨くことです。
「AIが答えてくれるから考えなくていい」ではなく、「AIが答えてくれる時代だからこそ、何を問うかを深く考える」。
ここに立てるかどうか。
これが、これからのリーダーの差になると思います。

経営者が考えるべき、生成AI時代の人財育成

経営者の皆さんにもお伝えしたいことがあります。
これからの人財育成、人材育成は、単なる知識教育だけでは足りません。
もちろん、品質管理、問題解決、新5S思考術、安全、ISO、コミュニケーション、マネジメント。
これらの基本教育は必要です。
でも、それを「手法を覚える教育」で終わらせてはいけないのです。

QC七つ道具を教える。
なぜなぜ分析を教える。
新5S思考術を教える。
KYTを教える。
報連相を教える。
それ自体は大切です。


しかし本当に育てたいのは、手法を知っている人ではなく、手法を使って考えられる人です。


現象を見る。
違和感に気づく。
問いを立てる。
仮説を持つ。
相手と確認する。
データを見る。
現場を見る。
AIも活用する。
最後は、自分の言葉で人を動かす。
こういう人財が、これからの組織には必要です。

私は、問題解決教育を単なる分析技法の教育とは考えていません。

問題解決とは、思考のトレーニングです。
観察のトレーニングです。問いのトレーニングです。あきらめない脳をつくるトレーニングです。
若手社員が、ただ上司に答えを求めるのではなく、「私はこう見ました」「この現象は、こう定義できると思います」「原因はここではなく、こちらにあるかもしれません」「AIにも聞いてみましたが、現場感覚ではこの部分に違和感があります」と言えるようになる。
これが、これからの次世代リーダー育成だと思います。

ここで大切になるのが、メタ認知です。

メタ認知とは、自分の考え方を一段上から見る力です。
「私は今、何を問題だと思っているのか」「この見方は本当に合っているのか」「自分の経験だけで決めつけていないか」「相手の立場から見ると、違う意味になるのではないか」「AIの答えに引っ張られていないか」。
こうやって、自分の思考を点検する力です。

これは、安全にも、品質にも、改善にも、リーダーシップにもつながります。
たとえば安全で言えば、「いつもやっているから大丈夫」という思い込みに気づけるか。
品質で言えば、「前回もこれで問題なかったから大丈夫」という確認バイアスに気づけるか。
人財育成で言えば、「若手はやる気がない」と決めつける前に、「やる気が見えにくい関わり方をしていないか」と問い直せるか。
この問い直しができる人は、強いです。

長年の遠回りを、次世代には学びやすい形で渡したい

私自身は、ずいぶん遠回りをしながら学んできました。
本を買い、積み、必要なときに読み、現場で問い直し、人と対話し、失敗もしながら、少しずつ自分の中に染み込ませてきました。
だからといって、次世代リーダーの皆さんにも、同じように遠回りしてくださいと言いたいわけではありません。
むしろ、その逆です。

私が長い時間をかけて遠回りしながら学んできたことを、次の世代には、もう少し学びやすい形で渡せないだろうか。
そんな思いがあります。
問いを立てる力、現象を定義する力、違和感を言葉にする力、相手と確認する力、AIを使いながら自分の思考を磨く力。
これらは、ただ知識として聞いただけでは身につきにくいものです。
だからこそ、継続したトレーニングが必要になります。

私が開発してきた次世代リーダー育成研修では、こうした力を7か月、17回のプログラムの中で、少しずつ実践しながら育てていきます。
もちろん、7か月で人が完成するなどとは思っていません。
人の成長は、そんなに単純なものではありません。
ただ、問いの立て方を知り、現場を見る目が変わり、自分の考えを言葉にし、仲間と対話し、行動に移す。
この流れを継続して経験することで、次世代リーダーとしての土台は確実に育っていきます。

大切なのは、長い時間をただ待つことではありません。
成長につながる経験を、どの順番で、どの深さで、どのように振り返るかです。
私は、その設計こそが、これからの人財育成には必要だと思っています。

若手は考えていないのではなく、問い方を知らないだけかもしれない

私は、研修の場でよく感じます。
20代、30代の若手は、決して考えていないわけではありません。
むしろ、考えています。
ただ、問い方を知らない。
考えを言葉にする場が少ない。
失敗しても大丈夫だと思える経験が少ない。
自分の違和感を、問題として定義する訓練を受けていない。
だから、そこを育てる必要があるのです。

一方で、経営者や管理職の皆さんも大変です。
人が育たない。
主体性が足りない。
改善提案が出ない。
会議で発言しない。
報連相が遅い。
AIを導入しても成果につながらない。
そう感じることもあると思います。
でも、そこで「若手が悪い」と見るだけでは、もったいない。
問いを変えてみる必要があります。

若手が考えられないのか。
それとも、考えるための問いを持てていないのか。
若手が発言しないのか。
それとも、発言したくなる場になっていないのか。
AIを使えないのか。
それとも、AIに投げる前の問題定義を教えていないのか。
人財育成は、知識を渡すだけではありません。
問い方を渡すことです。
考える場を渡すことです。
安心して試せる経験を渡すことです。
そして、自分の成長を実感できる時間を渡すことです。

私は、これまで多くの企業様で次世代リーダー研修に関わってきました。
最初は、自信なさそうに座っていた若手が、回を重ねるごとに変わっていく。
発言が増える。
仲間の話を聴くようになる。現場を見る目が変わる。自分の言葉で問題を語るようになる。上司に提案する顔つきが変わる。
この瞬間が、私は本当に好きなんです。

「ああ、人は育つんだな」と感じます。
そして、人が育つと、職場が変わります。職場が変わると、品質が変わる。
安全が変わる。生産性が変わる。コミュニケーションが変わる。
何より、働く人の表情が変わる。
だから私は、人財育成の仕事が好きなんです。

坂田の研修は、知識を渡して終わりではない

私の研修では、単に知識を伝えるだけではありません。
現場で起きていることを、どう見るか。
その現象を、どう言葉にするか。
そこにどんなバイアスがあるか。
どう問い直せば、相手が自分で考え始めるか。
AIを使うなら、どのように問いを設計するか。
出てきた答えを、どう人に届く言葉に変えるか。そこまで扱っていきます。

なぜなら、これからの時代に必要なのは、単なる知識の多さではないからです。
問いを立てる力。問いを深める力。問いを相手と共有する力。問いから行動を生み出す力。
これが、生成AI時代のリーダーに必要な力です。
私は、これを少し照れくさいですが、「坂田流学習法」と呼んでもいいのかなと思っています。

本棚に問う。
現場で問う。
相手に問う。
AIに問う。
そして最後に、自分に問い直す。


この循環です。


本を読むことも大切です。
でも、読むことが目的ではありません。
問いが深くなることが目的です。
AIを使うことも大切です。
でも、使うことが目的ではありません。
人の思考と行動が前に進むことが目的です。
研修を受けることも大切です。
でも、受けることが目的ではありません。
現場に戻って、昨日とは違う問いを持てるようになることが目的です。

20代、30代の次世代リーダーの皆さん。
焦らなくていいです。
最初から立派な答えを出そうとしなくていい。
まずは、違和感を大事にしてください。
「なんか変だな」「なぜ、こうなっているんだろう」「本当に問題はそこなのかな」「相手は何に困っているんだろう」「自分は何を見落としているんだろう」。
この小さな問いが、あなたの成長の入口です。

AI時代の人財育成は、問いを歓迎する文化づくりです

経営者の皆さん。
これからの時代に必要なのは、指示を待つ人財ではなく、問いを持って動ける人財です。
AIに負けない人財ではありません。
AIを使いながら、人間としての判断力、観察力、対話力、行動力を高めていける人財です。
そのためには、若手に問いを持たせる教育が必要です。管理職にも問い直す力が必要です。
組織全体に、問いを歓迎する文化が必要です。

「なぜ、そう思ったの?」
「どこに違和感を持ったの?」
「他の見方はないかな?」
「AIはそう言っているけど、現場ではどう見える?」
「次に何を試してみようか?」
こういう会話が増える職場は、強くなります。


VUCAの時代。
生成AIの時代。
シンギュラリティが語られる時代。


どれだけ技術が進んでも、最後に現場を動かすのは人です。


人の問いです。
人の気づきです。
人の勇気です。
人の言葉です。
私は、そう信じています。

だから私は、これからも伝えていきたい。
知識を増やすだけではなく、問いを育てよう。
AIを使うだけではなく、自分の思考を磨こう。
答えを急ぐ前に、問題を定義し直そう。
相手を動かす前に、相手の困りごとを受け止めよう。
そして、自分自身にも問い続けよう。
私は何を見ているのか。
私は何を見落としているのか。
私は誰の役に立ちたいのか。
私は、この経験をどう次の世代に渡していくのか。

これが、私の学び方です。
これが、私の現場での向き合い方です。
そして、これが、生成AI時代に必要な人財育成のひとつの形だと思っています。

坂田流学習法。

それは、特別な才能の話ではありません。
本を読む。
現場を見る。
人の話を聴く。
問いを立てる。
AIに投げる。
答えを疑う。
自分の経験と照合する。
相手に届く言葉に変える。
そして、また問い直す。
この積み重ねです。

地味です。
時間もかかります。
すぐに派手な成果が出るものではないかもしれません。
でも、こういう学び方を続けている人は、強いです。
変化に振り回されにくい。
情報に飲み込まれにくい。
AIに使われるのではなく、AIを使って考えられる。
そして、周りの人を巻き込みながら、現場を少しずつ良くしていける。

私は、そんな次世代リーダーを育てたいと思っています。
そして、そんな人財を本気で育てたい経営者の皆さんと、一緒に考えていきたいと思っています。
人は、問いで育ちます。
組織も、問いで変わります。
AI時代の学びも、問いから始まります。
答えを探す前に、問いを磨く。
ここから、未来の人財育成を始めてみませんか。
 
 生成AIを使って、定型業務の自動化や処理の簡易化、無人化を進める企業は、これからますます増えていくと思います。
もちろん、それは大切です。
ムダを減らす。効率を上げる。
人が本来やるべき仕事に集中できるようにする。
これは、経営にとっても現場にとっても大きな意味があります。

でも私は、生成AIを「仕事を減らす道具」だけで終わらせるのは、少しもったいないなぁと感じています。

生成AIは、問いを深める道具にもなる。
考える力を育てる道具にもなる。
問い力の強い人財を育てることは、その人の人生にも、企業の経営にも、きっと活きていく。
そんな思いから、今回のコラムを書いてみました。

ちなみに私の本棚は、生成AIより先に限界突破しております。
自動化どころか、積読の山が勝手に増殖しているように見えます。
怖いです。

それでも、問いは人を育てる。
組織を変える。未来をつくる。

そんなことを、少しでも感じていただけたら嬉しいです。

ご安全に。

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マネジメントコンサルティング部 部長
坂田 和則

国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。

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