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【EcoTopics】2030年以降の地方公共団体における計画策定を考える ―SDGsとウェルビーイングの視点から―

【EcoTopics】2030年以降の地方公共団体における計画策定を考える ―SDGsとウェルビーイングの視点から―
目次

地方公共団体においては、SDGsの理念を住民と共有したまちづくりや計画策定をするケースが多く見られます。

一方で、SDGsは目標年を2030年としており、2030年以降の「持続可能なまちづくり」についても考える必要があります。

本稿では、近年注目されている「ウェルビーイング」の視点も踏まえながら、「持続可能なまち」の実現に向けた、地方公共団体の計画策定について考えます。


1 地方公共団体におけるSDGsの意義

「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals、以下、SDGsという)は、2000年の国連サミットで合意されたミレニアム開発目標(MDGs)に代わる、国際社会の新しい共通目標として、2015年の国連サミットで採択されたものです。

SDGsは「誰一人取り残さない」という理念のもとに、2030年までに達成すべき具体的な目標を示したもので、内閣府もSDGsを行政、事業者、市民等の共通言語として活用し、政策の全体最適化や地域課題の解決を促す「地方創生SDGs」を推進しています。

地方公共団体においても、地域環境や社会構造の変化を受け、「持続可能なまちづくり」を推進する動きがみられるなか、SDGsの理念や目標を住民と共有することを目的として、各施策とSDGsの関連を整理した計画を策定するケースが多く見られます。


2 2030年以降の国際目標をどう捉えるか

SDGsは2030年をゴールとしたものですが、2026年10月現在、SDGsに関しては2030年以降に後継となる目標の名称や内容、達成期限は確定していません。

しかし、持続可能な社会づくりの取組は検討が進められており、国連が2024年に採択した「未来のための協定」では、2027年の国連SDGサミットで、2030年までとその先の持続可能な開発の進め方を検討する方針が示されています。

また、国内では「ビヨンドSDGs官民会議」が多様な主体を結ぶ官民連携の場として、2030年より先の未来に向けた目標づくりに取り組んでいます。フォーラムや分科会を通じて、企業、地方公共団体、団体などの知見を持ち寄り、今後の国際目標に向けた提案を検討しています。

今後は、貧困や格差、気候変動などの未解決の課題を引き継ぎつつ、目標や指標を更新する方向が考えられます。ただし、現行の17目標がそのまま延長されるか、新たな体系に再編されるかは、今後の議論によるものと考えられます。


3 ウェルビーイングの広がり

SDGsの理念が広がってきた一方で、ウェルビーイングの概念を、国や地方公共団体の各種計画に取り入れるケースもみられます。

ウェルビーイングは、WHO憲章の考え方を踏まえると「個人や社会が経験する良好な状態」と解釈することができ、健康、生活の安定、社会とのつながり、生きがいなどを含め、人々がよりよく暮らしている状態を捉える概念といえます。

ウェルビーイングが国や地方公共団体の計画策定に取り入れられてきた背景には、経済規模や事業の実施量だけでなく、政策によって人々の暮らしがどれだけよくなったかを重視する流れがあり、国や地方公共団体で様々な取組が行われてきました。

環境分野でいえば、2024年5月に閣議決定された「第六次環境基本計画」が、環境保全を通じた「現在及び将来の国民一人一人のウェルビーイング/高い生活の質」の実現を最上位の目的に掲げました。

また、福祉分野の例としては、介護保険事業計画の策定などに用いる「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」が挙げられます。要介護認定を受けていない、65歳以上の高齢者(要支援1・2を含む)を対象にしたこの調査では、現在の幸福度を0点から10点で尋ねており、厚生労働省は、この設問を高齢者の主観的幸福感を把握し、地域の精神面での健康度を示す成果指標として活用できると説明しています。

この流れと関わるのが「Beyond GDP」です。GDP(国内総生産)を補完し、社会・環境・暮らしの質を含めて進歩を測ろうとする考え方で、ウェルビーイングを把握する指標づくりとも関わります。国連の専門家グループが2026年5月に公表した報告書では、人々と地球のウェルビーイングを捉える指標群が提案されました。現在の暮らしの状態に加え、その持続可能性や公平性も含めて評価する視点が示されています。


4 ウェルビーイングとSDGsとの関係

SDGsとウェルビーイングは、人々が将来にわたってよりよく暮らせる社会を目指す点で共通しています。SDGsは、貧困、健康、教育、環境などの課題に対し、持続可能な社会を実現するための共通目標を示しています。

一方、ウェルビーイングは、心身の健康に加え、生きがい、人とのつながり、生活への満足感など、人々の暮らしの質に着目する考え方です。

自治体の計画では、SDGsを通じて施策の方向性や社会の持続可能性を捉え、ウェルビーイングの視点から、その成果が住民一人ひとりの幸せや暮らしやすさにつながっているかを確かめることで、より実効性のある取組が期待できます。

SDGsとウェルビーイングの比較

比較項目SDGsウェルビーイング

性格

国連で合意された国際目標の体系暮らしの質を捉える概念と評価の視点
目指す状態経済・社会・環境の持続可能性と包摂一人ひとりのよりよい暮らしとその持続
期間現行の2030アジェンダは2030年を目標年とする概念自体に共通の終了年はなく、計画ごとに設定
指標の特徴目標・ターゲットに対応する国際指標を、地域課題に合わせて活用生活満足度等の主観指標と、健康・所得・環境等の客観指標を併用
計画での役割施策の関連を整理し、部局や主体間の連携を促す施策が住民の暮らしにもたらした変化を評価する
共通する視点格差の縮小、健康、環境保全、将来世代への配慮格差の把握、健康、良好な環境、将来の生活の質


5 2030年をまたぐ計画の進行管理

国や地方公共団体が策定する計画において、計画期間が2030年をまたぐ場合も、SDGsの理念を踏まえた取組を継続することが重要です。そして、2030年以降の計画の中間評価や改定の際には、進捗や課題を確認するとともに、国際目標や国の方針を踏まえ、必要に応じて施策・指標を見直すことが考えられます。

その一環として、総合計画の将来像や基本目標に、持続可能性及び住民のウェルビーイングの視点を位置づけ、子育て、教育、交通、産業、防災などの施策を、暮らしの質の向上という共通の目的に結びつけることが考えられます。


6 おわりに

2030年以降を目標年度とする計画においても、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」という理念は、まちづくりを考えるうえで不可欠であると言えます。同時に、質の高い暮らしを送るという観点から、「ウェルビーイング」の価値観も広がりを見せています。

2026年10月現在、SDGsの後継となる概念は正式な発表がなされていないものの、ウェルビーイングはSDGsの後継ではなく、むしろ相互に補完する視点として活用することが考えられます。


●外務省

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択する国連サミット

https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/gic/page3_001387.html

 

●内閣府

地方創生SDGs・「環境未来都市」構想・広域連携SDGsモデル事業

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kankyo/miraitoshi.html

 

●国連

未来のための協定:それは何をもたらすのか

https://www.unic.or.jp/files/PACT-FOR-THE-FUTURE-WHAT-IT-DELIVERS_J.pdf

 

●国連

Beyond GDP

https://www.un.org/en/beyondGDP

 

●ビヨンドSDGs官民会議

https://beyondsdgs.net/

 

●公益社団法人 日本WHO協会

世界保健機関(WHO)憲章とは

https://japan-who.or.jp/about/who-what/charter/

 

●環境省

第六次環境基本計画

https://www.env.go.jp/council/content/i_01/000225523.pdf

 

●厚生労働省

介護予防・日常生活圏域ニーズ調査 実施の手引き

https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/001540160.pdf



株式会社ナレッジリーンでは、環境・カーボンニュートラルの分野における計画策定支援や、再エネ設備等に関連する調査・事業検討、具体的な削減のための事業も含めて支援を行っております。各種ご相談に応じますのでお気軽にお問合せ下さい。

(行政計画・政策検討)

https://www.kmri.co.jp/service/env-cn/adm-planning

(再エネ設備導入調査計画、補助金活用支援)

https://www.kmri.co.jp/service/env-cn/renewable-en-svy



(令和8年10月 公共コンサルティング部 井澤)



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