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【EcoTopics】事務事業編の排出量算定で確認したい、今年度の変更ポイント ―法改正・マニュアル改訂を踏まえた算定実務のチェック事項―

【EcoTopics】事務事業編の排出量算定で確認したい、今年度の変更ポイント ―法改正・マニュアル改訂を踏まえた算定実務のチェック事項―
目次

地方公共団体実行計画(事務事業編)における温室効果ガス排出量の算定は、毎年度実施する定型業務のように見えます。

しかし、対象範囲、活動量、排出係数、算定方法を十分に確認しないまま前年踏襲で進めると、後から修正や説明が必要になる場合があります。

特に近年は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」(以下「SHK制度」)や、省エネ法に基づく報告制度、事務事業編マニュアルの改訂など、自治体の算定実務に関係する制度・資料の見直しが続いており、自治体の算定実務でも確認すべき点が増えています。

本稿では、事務事業編における排出量算定を進める際に、今年度確認しておきたい算定方法の変更ポイントと、新任担当者が押さえておきたい実務上の確認事項を整理します。


1.事務事業編は、全ての地方公共団体に関係する法定計画

地方公共団体実行計画のうち「事務事業編」は、全ての地方公共団体に策定義務がある計画です。対象となるのは、庁舎、学校、公民館、公用車、廃棄物処理事業、上下水道事業など、地方公共団体自身の事務及び事業に伴う温室効果ガス排出量です。

そのため、事務事業編の排出量算定は、単なる集計作業ではありません。自団体の施設や事業活動からどの程度の排出が生じているかを把握し、削減目標の進捗管理や、省エネ・再エネ施策の検討につなげるための基礎資料となります。


2.算定の基本は「活動量」と「排出係数」の確認

温室効果ガス排出量の算定は、基本的には「活動量×排出係数」という考え方で行われます。活動量とは、電気使用量、燃料使用量、焼却量など、排出活動の規模を表すデータです。排出係数は、活動量当たりの排出量を示す係数であり、電気、都市ガス、燃料、熱などの種類ごとに確認が必要です。

ここで注意したいのは、算定ファイルやLAPSSに前年度の数値を入力して更新するだけでは不十分な場合があることです。対象施設の増減、電気契約先の変更、再エネ電力メニューの導入、指定管理施設の扱い、廃棄物処理施設や上下水道施設の稼働状況などにより、活動量や排出係数の前提が変わることがあります。環境省は、事務事業編の排出量算定・管理を効率的に実施するツールとしてLAPSSを位置付けるとともに、事務事業編の算定時に使用する排出係数資料も掲載しています。


3.直近の算定方法の変更で確認したいポイント

令和8年3月には、事務事業編の策定・実施マニュアルが更新され、算定手法編Ver.2.1が掲載されています。算定手法編は、温室効果ガス総排出量の算定方法と排出係数をまとめた資料であり、排出量算定時には最新版を確認することが重要です。また、令和7年3月版以降の改訂では、事業者別排出係数、SHK制度との関係、一般廃棄物焼却に伴うCO₂排出量の算定方法なども追記・修正されているため、前年の算定方法をそのまま使用できるか確認が必要です。

ここで注意したいのは、事務事業編、省エネ法、SHK制度は、それぞれ対象や目的が異なるという点です。事務事業編は、地方公共団体自身の事務・事業に伴う温室効果ガス排出量を把握し、削減目標の進捗管理や公表につなげるものです。一方、省エネ法やSHK制度は、一定の要件に該当する事業者等に対して、エネルギー使用量や温室効果ガス排出量の報告等を求める制度です。そのため、これらの制度に該当する場合は、報告内容と事務事業編の算定資料との整合を確認する必要がありますが、該当しない場合でも、事務事業編に基づく取組状況の公表は必要となります。

特に確認したいのが、電気・熱の排出係数の扱いです。SHK制度では、令和7年度報告から電気の基礎排出係数の算出方法が変更され、基礎排出係数もメニュー別で公表されています。非化石証書、グリーン電力・熱証書、再エネ由来J-クレジット等の反映方法も関係するため、再エネ電力契約を行っている施設がある場合は、使用する係数の種類を確認しておく必要があります。

また、SHK制度では、令和8年度報告から、廃棄物の焼却に係る廃熱の供給を受けた者の「他人から供給された熱の使用」に伴う排出量の算定方法が見直されています。改正後は、当該廃熱の使用による排出量は販売者側で計上し、購入者側では計上不要とされています。清掃工場等を有する団体や、廃熱利用に関係する施設を把握している団体では、事務事業編の算定・説明資料との整合も確認しておきたいところです。

なお、省エネ法、SHK制度、事務事業編は、それぞれ対象、算定目的、報告・公表の仕組みが異なります。省エネ法やSHK制度の対象となる場合は、各制度に基づく報告内容と事務事業編の算定・公表資料との整合を確認する必要があります。一方、これらの制度に該当しない場合でも、事務事業編に基づく取組状況の公表は必要となるため、自団体がどの制度の対象となるのかを確認したうえで、算定作業を進めることが重要です。


4.新任担当者がまず確認したい実務上のポイント

今年度から事務事業編の算定を担当する場合、まず確認したいのは、前年度の算定ファイル、LAPSSの入力状況、対象施設一覧、使用した排出係数、庁内照会様式です。算定結果だけでなく、「どの施設を対象にしたか」「どの年度の排出係数を使用したか」「大きく増減した施設はどこか」を確認すると、今年度の作業が進めやすくなります。

特に、電気使用量が大きい施設、燃料使用量が多い施設、廃棄物処理施設、上下水道施設、公用車台数に変動があった部局は、排出量の増減理由を説明するうえで重要です。前年から排出量が大きく変動した場合は、単に数値を修正するだけでなく、施設の稼働状況、契約変更、設備更新、気象条件、計上方法の変更など、説明できる材料を整理しておくことが望まれます。


5.おわりに

事務事業編の排出量算定は、毎年の作業である一方、制度改正やマニュアル改訂の影響を受ける実務でもあります。年度当初から、対象範囲、活動量、排出係数、算定方法の変更点を確認しておくことが、正確な進捗管理と庁内説明につながります。

新任担当者にとっては、すべてを一度に理解する必要はありません。まずは前年度算定ファイルと最新マニュアルを照合し、「前年踏襲でよい部分」と「今年度確認すべき部分」を切り分けることが、事務事業編の算定業務を円滑に進める第一歩になります。



株式会社ナレッジリーンでは、地方公共団体実行計画(事務事業編)の策定・改定支援、温室効果ガス排出量算定、LAPSSを活用した進捗管理、省エネ・再エネ導入検討などを行っております。各種ご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


●環境省 地方公共団体実行計画 事務事業編 マニュアル・ツール・参考資料

https://policies.env.go.jp/policy/roadmap/local_keikaku/jimu/index.html

●環境省 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度

https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/

●環境省 令和8年度算定・報告からの温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の変更点について

https://policies.env.go.jp/earth/ghg-santeikohyo/files/about/changes_2026.pdf


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(令和8年6月 公共コンサルティング部 佐藤)



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