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作業手順書は使う人のレベルに合わせて書く│『未知の体験知識』と『ノウハウ』を意識する

目次

意外と陥りがちな、作業手順書づくりの落とし穴

新入社員も、職場の雰囲気に慣れ、仕事の1つや2つを覚えはじめる頃ではないでしょうか。
それを指導する先輩も、教え指導する苦労が報われはじめる頃でしょう。

今回は、教育指導の時に使う、作業手順書のおはなしです。

作業手順書を使う人のレベルに合わせて書くことが大切。
作業手順には、『未知の体験知識』と『ノウハウ』を意識しながら書き入れましょう。

私が、作業手順書の書き方をサポートするとき、手順書を作成する方にチャレンジして頂くことがあります。それは、湯切りタイプのソース焼きそばを作る手順の作成です。

多くの方は「そんなの簡単ですよ~」といった感覚で、製作手順を組み上げてしまいますが、この後に落とし穴が待っています。

出来上がった手順を片手に「手順書通りにやってみてください。」と、実際に湯切りタイプの焼きそば(以下、ヤペングと記す)を作ってもらいます。
ヤペングは、比較的簡単に作ることのできる商品で、きっと、あなたも作ったことがある商品でしょう。
ところが、手順書を作成しヤペングを作ってもらおうとすると、ほとんどの方が作り終えることができないのです。

私は「手順書通りに作ってください。」とお願いをします。
繰り替えしますね。「手順書通りに作ってください。」です。

手順書通りに作業しても、誰もがゴールにたどり着けない?!

ヤペングを手順書通りに作ろうと軽い気持ちで作り始めると、途中で私からの”ダメだし”が入ります。

多くの方は、ヤペングを手に取り、包装シートを「バリバリ」と破りはじめるのですが、もしこれが手順に書かれていない場合は”ゲームオーバー”として、それ以上作業を進められないようにします。

また、蓋を開けるまで至った方も、中からソースを取り出したり、かやくを取り出すことが手順に書かれていないと、ソースやかやくを入れたままの状態で、お湯をいれることになり、これも”ゲームオーバー”にします。

そう、このゲームに参加して頂くと、ほとんどの方が、おいしいヤペングを食べることができないのです。

いつまでたっても食べることのできないヤペング。
何度も、なんども手順書を書き直しながら、やっとこさっとこ「食べる」ことができるのです。
そして「手順の書き直し」を繰り返していると、ゲームに参加した方は口を揃えてこのように言います。

「こんなの常識だと思っていました。」
「こんなこと当たり前だと思っていました。」
「普通なら知っていると思っていました。」

確かに、手順書を作る場合、常識的な行動や思考についてまで書く必要はありません。
たとえば、「はさみで紙を切る」作業の手順でも、はさみの持ち方や使い方まで書き出す必要はないでしょう。

はさみの持ち方や使い方は、『既知の体験知識』であることが多いからです。
ところが、『既知の体験知識』であることの少ない動作や思考の場合、それを明確に手順の中に書き出さなければなりません。

ヤペングゲームでも、『既知の体験知識』については、その作業をするヒトの「経験と知識」にあった内容で手順を作ってもらう様にします。

手順書づくりは、相手に伝わっていないノウハウを知るきっかけになる

また、作業手順を作る場合、ノウハウを書き漏らすケースが少なくありません。
ノウハウは、無意識のうちに実行されることが多く、手順への書き漏れが発生しやすくなります。

このゲームに参加した方は

・『既知の体験知識』と『未知の体験知識』をシッカリと考えて、手順を作ろうと思いました。
・ノウハウについても、見える化ができる様、意識するようにします。
などの、気付きを得ているようです。

作業手順には、『未知の体験知識』と『ノウハウ』を意識しながら書き入れましょう。
手順書通りにやってみて、作業が滞る部分を探してみませんか?

きっとそこには『未知の体験知識』やノウハウが隠れていて、それが相手に伝わっていない可能性がありますよ。


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マネジメントコンサルティング2部 部長
坂田 和則

国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、現在、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。

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