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【解説】マンネリを打破し、継続できる5S活動とは? - 新5S思考術

目次

「新5S思考術」とは?

整理(Seiri)・清掃(Seiso)・整頓(Seiton)・清潔(Seiso)・躾(Shitsuke)のステップで活動を進める改善の考え方です。
大きな違いは、成果を得ると共に現場で働いている方々の改善マインドを育成するという特徴があります。

このページでは、各ステップを詳しく解説していきます。

整理

整理の目的は、「どんなに厳しいルールでも守る人材を育てる」ことにあります。私たちの仕事は形がある「モノ」と形がない「コト」から構成されております。モノというのは、機械や材料、工具、パソコン、梱包材、ファイルなどという物体であり、目に見え、みな形があります。

一方、コトというのは、情報や業務(業務そのもの、目的、機能)といった出来事や状態であり、目に見えず、形がありません。実はモノ・ゴトを使ったり行ったりしているのは私たちヒトです。ヒトはモノを捨てたり、ゴトを止めることを極端に嫌う生き物です。

例えば、あなたの職場やあなたの工場を思い浮かべてみてください。下記の状態に陥っていませんか?

  • 職場や工場の中はモノで溢れかえっている。
  • 必要な道具や工具が見当たらず、探し回っている。
  • 通路にモノが山積みに置きすぎて、通路が狭くなっている。
  • 設備に2回通さなければいけないモノがある。
  • 製品の手直しに時間が取られてしまっている。

実はこれらが『問題解決する組織』への成長を阻む原因になっていることが少なくありません。

ヒトは過去に問題なくできたコトに対して、同じコトを続けてしまう生き物です。そして、何も問題が発生しないためその状態がいつの間にか常態化してしまいます。

一回やり方を決めてしまうと、仮にそれ以上良いやり方があったとしても、「今までこのやり方でやってきて問題が発生していないから」という理由で、従来のやり方を変えようとしなくなってしまいます。

この固定概念のことを心理学用語で「メンタルモデル」と言います。実はこれを書き換えるのが一番苦労するんです。
変革や改革を行う際の良くある失敗は、「メンタルモデル」を書き換えできなかったことによって発生します。なのでこれを書き換えさせることができるか否かによって成果が大きく変わってしまいます。

この書き換えには様々な手法が用いらますが、神経言語プログラミングであるNLPでは、あるモノを使って意識変革を促します。この手法の応用が「新5S思考術」の整理にあたります。

つまり、職場にあるモノやコトを徹底的に分けることで「メンタルモデル」を少しずつ書き換えしていきます。ヒトはモノゴトを考え始めると、あちらこちらに思考が分散してしまいます。その結果、速やかに行動を起こせないというクセを持っています。あれこれ考えすぎると、考えることだけに集中してしまい、結局行動しないまま終わってしまうのです。

「新5S思考術」の整理では、単純に「いる・いらない」だけの判断基準でモノゴトを分け、いらないモノゴトは思い切って捨てるというシンプルな作業を繰り返します。しかし、いくらシンプルな動作を繰り返すとは言え、「捨てられないんですっ!」と様々な理由をつけてはモノやコトを捨てようとしないヒトも中にはいます。時には職場の中で口論が起き、雰囲気が悪くなる事も多いです。

その時私たちが気付かなければならないのは、「捨てられない」自分は利用できるモノを何でも取ってしまいがちであるという「メンタルモデル」を持ってしまっているということを認識しなければいけません。これは過去の経験や知識から作られたものであり、組織成長のためには阻害要因の何ものでもありません。

つまり、整理という活動を通して、「メンタルモデル」の書き換えという自己意識改革の第一歩を行っていると捉えて頂きたいのです。整理にはシンプルなルールが適用されますが、それは非常に厳しいものになります。

整理は単なるお片付けなのではなく、厳しいルールを守る(守らせる)ことでこれを書き換えていくことが目的です。結局のところ、不必要なモノゴトが無くなると、下記の状態が改善され、検索ロスや運搬歩行ロスの削減にも繋がります。

  • 職場や工場の中はモノで溢れかえっている。
  • 必要な道具や工具が見当たらず、探し回っている。
  • 通路にモノが山積みに置きすぎて、通路が狭くなっている。
  • 設備に2回通さなければいけないものがある。
  • 製品の手直しに時間が取られてしまっている。

上記のような状態から、

  • 職場や工場の中はモノがない、または少ない状態。
  • 必要な道具や工具がすぐに見つかり、探し回る必要がなくなる。
  • 通路にモノがなくなったので、運搬しやすくなる。
  • 設備の異常が改善され、1回通すだけで良くなる。
  • 製品の手直しがなくなる。

といったように、様々なロスの削減が可能です。

清掃

あなたはお風呂の浴槽を清掃をするときはどのような動作(コト)を行っているでしょうか?洗剤を使用して、スポンジを片手にゴシゴシしているのではないでしょうか。

そのときどこを見ているでしょうか?浴槽を観察(監視・測定)しながら、スポンジを動かしているのではないでしょうか。

その時、何を考えているでしょうか?「汚れが落ちているだろうか?」と考えているのではないでしょうか。

「新5S思考術」では、清掃は「モノゴトの点検」と定義します。清掃は何か目的を持ちながら行うことで、詳細な部分を自然に観察することができるのです。そして、何かに気付くことで、「モノゴト」に対する意識が芽生え始めます。

先ほどのお風呂であれば、浴槽の汚れです。このように何気ない無意識の状態から、設備の異常の有無を確認しながら行うという意識に変換する動作が清掃です。これが清掃の原理原則です。

「うちの会社は安全意識が低くて困る!」などと指摘する経営者や管理者も少なくありませんが、あなたの会社では原理原則を理解して組織のモチベーションを高める工夫をしているでしょうか?

これにより、職場内でのコミュニケーション障害が生じ始めます。リーダーシップをさらに発揮するためにも、清掃を通じて気付きに対する「良好なフィードバック」を心がけて欲しいものです。2つ目のポイントは、「清掃時の目的やテーマをハッキリと持つこと」です。残念ながら、雑巾を手に取り「清掃しましょう!気付きを得ましょう!」と号令をかけても気付きを得ることはできません。

そのほとんどが首をかしげる内容になっているのが現状ではないでしょうか。新たな気付きを与えるきっかけとして「新5S思考術」で人材の育成をして頂きたいと願っています。実は清掃では、重要なポイントが2つあるのです。

1つ目のポイントは、「良好なフィードバック」を与えるということです。部下や後輩が清掃を通じて気付いた点を管理者や管理職がしっかり聴く(傾聴する)ことで、「あの人ならちゃんと自分の話を聞いてくれる!」という安心感を与える必要があります。

「こんなつまんない事を見つけても意味がないだろ~」などとフィードバックをすると、「このヒトは自分の話を聞いてくれない。」という「メンタルモデル」を形成してしまい、それ以降、些細なことも報告してくれなくなります。

何をどのように気付けば良いのか、ハッキリとテーマを持った清掃をすることが大切です。気付きを得るためのテーマとしては、にくい探しを推奨します。にくいとは「○○しにくい」ということで、例えば、「見にくい」「聞きにくい」「触りにくい」「解りにくい」などがあります。

これは、人がモノゴトを認識する際にストレスを感じる瞬間です。一般的には、ストレスに気付かず日頃の業務を遂行してしまっている私たちですが、この蓄積がメンタルに悪影響を及ぼすこともあります。

また小さなストレスは作業のムダに直結することもあり、作業ロス低減のためにも是非行ってみてください。どんなに小さくてもストレスのある仕事は、あるべき姿の業務からかけ離れている状態にあります。

この状態を気付かせ、イメージさせる事が大切です。仕事のあるべき姿への意識こそが、改善活動に積極的に参加してくれるようになります。清掃を通じて、多くの気付きを得る人材を育成して欲しいと願っています。

整頓

「新5S思考術」では、整理→清掃の順番を体験した者が整頓へ進みます。

整頓とは「1秒でも早く、1㎜でも短く」モノが取り出せるようにモノゴトの置き方や配列方法を考えることが目的です。

整頓では、徹底的に動作ロスや検索ロスを減らすことができ、ヒューマンエラーの予防や業務の質向上を狙うこともできます。

「不具合やクレームにはなっていないが、不具合の原因になるかも?」という要因を取り除くことも可能で、予防処置的な成果を多く生み出すこともできます。

予防処置の重要性は語られることが多いですが、どのように進めるかについてはあまり語られることがありません。ファシリテート(容易に)するためにも、整理→清掃→整頓の順番で進めリーダーシップを発揮して欲しいです。

ちなみに、この順番で行うのは、テーマを持った清掃を行うことで「メンタルモデル」の書き換えを早い段階で行うためです。
不要な「メンタルモデル」を持ったままでは、中途半端で終わってしまいます。逆に言うと、書き換えが早い段階で出来ると、改善しようというモチベーションを維持でき、その流れで整頓もスムーズに行うことができます。

清潔と躾

整理・清掃・整頓の順番で改善をファシリテートした組織は、どの職場を見ても美しく清潔で機能的です。「よくぞここまで!」と驚くことも少なくありません。これはかなり厳しいレベルの訓練です。

その厳しさに絶え、成長した人材が作り出す職場だけが、継続的な改善サイクルを手にすることができます。しかし、残念なことにせっかく綺麗になった職場も、時間と共にマンネリ化が始まり元の姿に戻ってしまう事が多いんです。

マンネリ化とは、視覚的・論理的・心情的に何かしらの変化を伴わないと発生し、放置されると新たな気付きを得る事が難しくなってくることです。例えば、ISO取得時や継続・更新審査直前は一時的に盛り上がるけれども終わると通常に戻り停滞することも良くあります。

これは、いわゆるマンネリ化と同義です。

怖いのは審査員や内部監査員が来ることにすら慣れてしまった場合で、「継続審査どうでした?」と質問をすると「いつもと同じで雑談みたいな感じで終わっちゃいました。」という回答をもらうケースの多いこと・・・。

話を戻します。これを予防するためには「置き方を決めたら、そのルールを作ること。」が必要です。例えば、ファイル置き場や、工具・治具置き場などでも表示を行うことがあげられます。文字・線などを駆使しながら「見せる化」する事が大切です。ルールとは「誰がやっても同じ結果がだせること。」と定義します。そして、さらに重要なことは管理者や管理職が行うのではなく、職場で働く本人に表示させることです。

これは「自分で決めた事は守る。上司の決めた事には反発する」という心理を応用し、マンネリ化を予防する考えです。ルールが決まってしまえば、それをみんなで守る(躾)ことができるようになります。こうして自ら制定することで自信がつき始め、自律した成長サイクルに乗り始めていくのです。


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マネジメントコンサルティング2部 部長
坂田 和則

国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、現在、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。

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