コラム

課題/問題解決とメタ認知│意識の4つの領域

目次

専門家ゆえに抱えてしまう課題/問題

このブログでも、何度も登場する「 課題/問題解決 」。
多くのクライアント様から、日々解決策を求めてご相談を頂戴しております。

相談を持ちかけられたとき、
「皆さんは、私よりこの領域についての専門家なので、解決は簡単にできるでしょう?」
とまずは話しかけてみるのですが、専門家ゆえに解決できないことも多いようです。

課題や問題を抱えている人達は、その仕事のプロであり専門家です。
仕事のプロセスを理解し、実際にその仕事をやって成果も出しているし、顧客からの信頼も得られているわけです。

おまけに、その仕事を部下や後輩に教え、指導者的立場でもあるとなれば、その世界の「専門家」でしかないのです。
それが、問題解決時に、その専門性が活かされると思いきや、なかなか 課題/問題解決 に至らないといったことが起きるのです。

例外に漏れず私自身でさえ、何か課題や問題に突き当たると、数多くの問題解決をお手伝いしているのにもかかわらず、立ち止まって考え込んでしまうことがしばしば・・・・。

なぜ?人は、 課題/問題解決 のシーンにおいて、その専門性を活かすことができなくなってしまうのでしょうか?

今回は、 課題/問題解決 とメタ認知についておはなしをします。
今の視点では、その問題や課題を解決することはできません。
意識できない領域を意識できる力が必要なのです。

課題/問題解決 に対する4つの領域

私たちの課題や問題に対する意識は、4つの領域に分かれます。
下表を見てみましょう。

1の領域では、もっとも問題解決が円滑に進むチームの状態です。
2の領域は、他人から指導や支援を受けながらも、チームとして問題解決が進む状態です。
3の領域は、自らが他人を支援しながらチームとして、問題解決が進む状態です。

この1~3の領域では、”やっとこさっとこ”でも課題や問題解決がチームの状態です。

ところが、4の領域では、全くといって「その原因に気付かない」や、課題や問題にさえ気付かないのです。
チームがこの状態に陥ってしまうと、 課題/問題解決 が全く進まなくなります。
また、4の領域は「専門家集団」が陥りやすいことも解っています。

『魔の4領域』から脱する方法

では、どうしたら『魔の4領域』から脱することができるのでしょうか?
それは、高いメタ認知力をもって 課題/問題解決 に挑むことです。

メタ認知とは、高い次元からモノゴトを見つめる認知方法で、いままで見ていない視点からモノゴトを見つめる能力です。

先日もある組織で、労働安全衛生に関する行動の問題が取り上げられました。
労働安全衛生に係わることですから、直ぐにでも解決しなければ災害につながってしまうような事象でした。

私も、その会議に参加をしていたのですが、さすが専門家集団!
専門的知識と経験から、多くの対応策が出されたのです。

ところが、出てくる対策は「過去に手を打ったか、既に実施している」内容ばかりでした。
過去に行った対策を現時点で行っても、結果が得られることはありません。
意気込んで会議に挑んだ幹部の方々も、だんだんと意志消沈といった感じになっていました。

この状態では、問題解決モチベーションも下がり、発言もどんどん減ってきてしまいます。

人の行動は『なに』で決まるのか?

そこで私から「行動科学や行動分析学の視点で、この課題を捉えてみたらどうだろうか?」と投げかけ、簡単な説明をしてみました。

行動科学や行動分析学は、人の行動を決める要因を洗いだし、人の行動は『なに』で決まるのか?といったことを研究する分野です。

すると、会議室全体が新しい視野を得たのでしょう。
今まで、出てくることの無かった対策やアイデアが数多く出現し、全く新しい視点から得た対策内容になりました。

もちろん、効果も大きく職場の行動内容が変わり、さらに高い安全性を確保することができたのです。

これらの事例からも解るとおり、専門性の高いチームは、過去の経験と知識に頼った 課題/問題解決 を進めやすく、新しい視点で問題事象を捉えることができなくなるようです。
日頃から、気付かない領域に気付く力『洞察力』を高め、チームの 課題/問題解決 力を高める様にしてください。

時には、部外者の意見を取り入れることも必要でしょう。
いま発生している問題や課題は、今の視点からでは解決できない。
いまより、広く高い視野で問題や課題を扱わなければ解決できない。

広く高い視野を持った状態をメタ認知といいます。

洞察力は
✓ロジカルシンキングやクリエイティブシンキングを組み合わせた問題解決
✓心理的安全性を確保した上での問題解決会議
で、高めることができます。

ぜひ、実践してみてください。


問題解決・課題解決|知識経営研究所

『問題解決」ができる組織とは、どのような組織なのでしょうか。それは、改善が思うように進む組織(改善する組織)のことです。『問題解決』できる組織の育成には、ムダを見つける教育が欠かせません。

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マネジメントコンサルティング2部 部長
坂田 和則

国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、現在、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。

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