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「やってみよう」は精神論ではなく、ある程度は科学で説明できる |一歩を踏み出す条件とは

目次

「やってみよう」は精神論ではなく、ある程度は科学で説明できる

1.「気持ちの問題」で終わらせないために、科学の視点を持っておきたい

前回のコラムの続きです。
ここまで見てきたように、「やってみよう」という気持ちは、単純なやる気ではありません。
好奇心だけでもない。
危機感だけでもない。
不安もある。損したくない気持ちもある。
意味を求める気持ちもある。
そして、ひとりじゃないと感じられることも大きい。
そういうものが重なり合って、人はようやく一歩を踏み出していくんです。

ここまででも、かなり大事なことは見えてきます。


でも、私はもう一歩だけ深く見ておきたいと思うんです。
それは、こうした心の動きは、経験則として語るだけでなく、ある程度は科学の視点からも整理できる、ということです。


こう言うと、急に難しく感じる方もいるかもしれません。
でも、ここでやりたいのは、学術用語を並べることではありません。
私はむしろ逆で、難しい理論を、現場や日常で使える言葉に翻訳したいんです。


なぜ、人は「やらされている」と感じると動きにくくなるのか。
なぜ、「少しならできそうだ」が一歩の重さを変えるのか。
なぜ、「ひとりじゃない」があれほど大きな支えになるのか。


こうしたことを、心理学や行動科学の視点で見ていくと、“やってみよう”は単なる気分の問題ではなく、かなり筋道立てて理解できることが見えてきます。

そして、ここが大事なんですが、科学で理解できるということは、再現性のある支援につながる、ということでもあるんです。
 つまり、「あの人はやる気があるから動ける」「あの人は性格が前向きだから続く」といった属人的な見方から少し離れて、どうすれば人が動きやすくなるのかを、条件として考えられるようになるんです。


私は、これは人材育成でも、部下支援でも、自分自身の成長でも、とても価値のある視点だと思っています。
 気持ちに頼るだけでは、どうしても波があります。
 でも、心が動きやすい条件を知っておけば、波がある中でも前に進みやすくなる。
 だからこそ、ここで少しだけ科学の視点を借りてみたいのです。


2.人は、「自分で選んでいる」と感じられたときに動きやすくなる

まず、最初に大事なのが、「自分で選んでいる」という感覚です。
心理学では自己決定理論という考え方があります。
難しく聞こえるかもしれませんが、ものすごく乱暴に言えば、人は“やらされている”と感じると動きにくくなり、“自分で選んでいる”と感じると動きやすくなる、ということなんです。


これ、実感がありますよね。
同じことをするにしても、命令されてやるのと、自分で意味を感じて選ぶのとでは、心の乗り方が違います。
表面的には同じ行動でも、内側のエネルギーがまるで違うんです。

たとえば、上司から「これ、勉強しておいて」と言われたとします。
もちろん、それが必要な場面はあります。
でも、その人の中で「なぜこれを学ぶのか」がつながっていないと、どうしても受け身になりやすい。


一方で、「これを学ぶと自分の仕事の見え方が変わりそうだ」「この力がつくと、自分の課題に直接つながる」と本人が感じられると、同じ学びでも動きが変わるんです。

ここで大事なのは、放任することではありません。
「自分で選んでいいよ」と丸投げすればいいわけではない。
そうではなく、本人が“自分で選んでいる”と感じられる余白をどうつくるかなんです。


これは、リーダーの関わり方としてとても大事です。

やらせるのではなく、意味が立ち上がるように関わる。
命令するのではなく、選ぶ感覚を残す。
私は、ここを見落としてはいけないと思っています。
人は、自分で選んでいると感じられたときに、責任も引き受けやすくなるからです。


自分自身に対しても同じです。
「やらなきゃ」と思っているときより、
「自分はこれをやると決めた」
と思えたときのほうが、心は前に進みやすい。
ほんの少しの違いに見えますが、この差は意外と大きいんです。


3.「少しならできそうだ」が、一歩の重さを大きく変えていく

もうひとつ大事なのが、自己効力感です。
これも少し硬い言葉ですが、要するに、“自分にも少しはできそうだ”という感覚のことです。

ここで注意したいのは、自己効力感は「絶対に成功する自信」ではない、ということなんです。


多くの人は、自信がついたら動けると思いがちです。
でも実際には、そこまで大きな自信はなくても、一歩は踏み出せます。
必要なのは、「完璧にできる」ではなく、「少しならできそうだ」という感覚なんです。


たとえば、本を一冊読み切る自信はない。
でも、今日は10ページなら読めそう。
資格の勉強を何カ月も続けられる自信はない。
でも、今夜15分だけならやれそう。
新しい改善提案を大きく出すのは怖い。
でも、まず一つだけ気づいたことをメモにするならできそう。
こういう“小さくできそう”が、とても大事なんです。


人は、「全部できる」と思えないと動けないわけではありません。
むしろ、最初から全部を見せられると、かえって重くなります。
だからこそ、最初の一歩を小さくすることには意味があるんです。
それは単なる気休めではなく、心の動き方に合った工夫なんです。

部下育成でも同じです。


いきなり大きな役割を任せると、相手は自信をなくすことがあります。
でも、「ここだけならお願いしたい」「まずはこの部分を一緒にやってみよう」と小さくすると、受け止めやすくなる。
そして、一度できると、次の一歩が少し軽くなる。
この積み重ねが、自己効力感を育てていくんです。


私は、ここでもう一つ強調したいことがあります。
それは、自己効力感は、頭の中だけで育つわけではない、ということです。
「あなたならできる」と言われることも大事ですが、それだけでは足りません。
やってみて、少しできた。
その経験がある。
そこに誰かが意味づけをしてくれる。
この積み重ねがあって、初めて「自分にもできそうだ」が育っていくんです。


4.人が止まるのは、意志が弱いからではなく、失うものが大きく見えるからかもしれない

前の章でも触れた損失回避は、ここでも大きな意味を持ちます。
人は、得られるものよりも、失うかもしれないものに敏感です。
これは、心が弱いからではなく、人間の自然な傾向なんです。

新しいことを始めようとするとき、人は何を失うと感じるでしょうか。


時間。お金。安心感。今までのやり方。周囲からの評価。「失敗しない自分」というイメージ。

こういうものが、想像以上に大きく感じられることがあります。

ここで大切なのは、「そんなこと気にするな」と片づけないことです。
気にするのは自然なんです。
問題は、損失が必要以上に大きく見えているときに、それをそのまま放置してしまうことです。


たとえば、「新しいことを始めると時間が全部奪われる」と感じている人がいるとします。
でも実際には、毎日15分からでも始められるかもしれない。
「失敗したら取り返しがつかない」と思っている人も、本当は小さく試せるかもしれない。
つまり、損失感そのものをゼロにすることはできなくても、損失の見え方を現実的に整えることはできるんです。


これは、部下支援でもとても大事です。
相手が何を失うと感じているのかを見ないまま、「なぜやらないんだろう」で終わらせると、支援の入り口を見失います。
何を怖がっているのか。
何が大きすぎるのか。
何なら小さくできるのか。
ここを見ることが、実はとても現実的なんです。


私は、損失回避を知ると、人を責めにくくなると思っています。
なぜなら、止まっている背景にあるのが、単なる怠慢ではなく、「失いたくない」という自然な反応かもしれないと分かるからです。
この見方は、自分にも他人にも、少しやさしくなれる視点だと思うんです。


5.「やる気が出たらやる」より、「いつ何をするか」が決まると人は動きやすい

もう一つ、行動科学の中でとても実用的なのが、実行意図という考え方です。
これも言葉は少し硬いですが、やっていることはシンプルです。
「やる気が出たらやる」ではなく、「いつ、どこで、何をするか」を先に決めておく。
これだけで、行動はかなり起こりやすくなります。


人は、気分に任せると、どうしても後回しにしやすいんです。
なぜなら、日常にはほかにもやることがたくさんあるからです。
疲れている日もある。
忙しい日もある。
気分が乗らない日もある。

そんな中で「そのうちやろう」と思っているだけでは、なかなか形になりません。


でも、
「毎週火曜の夜9時に15分だけ本を読む」
「出勤したら最初に改善メモを1行書く」
「会議の最後に、次の一歩を全員で一つだけ決める」
こうやって具体的に決めておくと、心の負担がかなり減るんです。

これは、やる気をなくすためではありません。
むしろ逆です。


やる気に頼りすぎないことで、動きやすさをつくる工夫なんです。
私はこれ、すごく大事だと思っています。
なぜなら、人は“気分が整ってから動く”より、“動ける形が整っていると動きやすい”からです。


リーダーの立場でも、この視点は使えます。
「もっと主体的にやってよ」と言うよりも、
「まず何を、いつまでに、どこまでやるかを一緒に決めよう」
のほうが、ずっと動きやすい。
曖昧な期待より、具体的な一歩。
 ここが見えてくると、関わり方はかなり変わります。


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6.「ひとりじゃない」は気休めではなく、行動を支える大きな条件なんです

前回でも触れたように、他者とのつながりはとても大事です。
そしてここも、単なる気持ちの話ではなく、かなり本質的な条件だと思っています。


自己決定理論では、関係性も重要な要素とされています。
人は、誰かとつながっていると感じられるとき、動きやすくなる。
これは、感覚としても納得しやすいですよね。

見てくれている人がいる。
話を聞いてくれる人がいる。
失敗しても全部を否定されないと感じられる。
こういう関係があると、人は挑戦しやすくなります。
 

逆に、どれだけ意味があっても、どれだけ必要でも、「全部ひとりで背負わなければいけない」と感じると、途端に重くなるんです。

だから私は、つながりを“おまけ”だとは思っていません。
行動の後ろにある、かなり大きな条件だと思っています。


人は孤立すると、思考も狭くなりやすい。
でも、つながりがあると、「少しやってみようかな」に変わりやすい。
この差は大きいんです。


管理職やリーダーの関わり方も、ここに大きく影響します。
部下が安心して相談できるか。
迷いを口にできるか。
失敗を恐れすぎずに試せるか。
こういう関係性があるだけで、一歩の出やすさはかなり変わります。

つまり、行動を支えるのは、本人の根性だけではない。
関係性もまた、行動の条件なんです。
私は、この視点を持つと、人材育成の見え方がかなり変わると思っています。


7.科学が教えてくれるのは、「人はどうすれば動きやすくなるか」という条件なんです

ここまで見てくると、科学が教えてくれるのは、「人はこうあるべきだ」という理想論ではないことが分かってきます。
むしろ、もっと現実的です。


人は、どういう条件がそろうと動きやすくなるのか。
逆に、どういう条件があると止まりやすくなるのか。
そこを整理できるようになるんです。

自分で選んでいると感じられること。
少しならできそうだと思えること。
損失が過剰に大きく見えすぎていないこと。
具体的な一歩が決まっていること。
ひとりではないと感じられること。

こうした条件が整うと、人は動きやすくなります。

ここが見えると、「あの人はやる気がない」で終わらなくなる。
「自分は意志が弱い」で終わらなくなる。
そうではなく、
何が整っていないのか。
どこで引っかかっているのか。を見られるようになるんです。

私は、ここに大きな価値があると思っています。


精神論は、瞬間的には火をつけられることがあります。
でも、再現性や持続性を考えると、それだけでは足りません。
人が動きやすくなる条件を理解し、整えること。
ここまで踏み込めて、初めて支援になる。
私はそう思っています。

次の章では、ここまで見てきたことを、実際にどう活かしていくかを考えてみたいと思います。


自分自身に対しては、どうすれば一歩を踏み出しやすくなるのか。
部下や若手に対しては、どうすれば「やれ」ではなく「やってみよう」が生まれやすくなるのか。
後半の最後では、実践の視点から、このテーマを着地させていきたいと思います。
 


人はどうすれば、一歩を踏み出しやすくなるのか

8.分かっただけで終わらせず、ではどう整えるかを考えたい

ここまで見てきて、「やってみよう」という気持ちが、単純なやる気ではないことはかなり見えてきたと思います。
好奇心。違和感。不安。
損したくない気持ち。意味づけ。少しならできそうだという感覚。
決断。覚悟。つながり。
こうしたものが重なって、人はようやく一歩を踏み出していく。

ここまで分かるだけでも、見え方はだいぶ変わります。


自分を責めすぎなくなる。
部下や若手を表面だけで判断しにくくなる。
でも、ここで終わってしまうと、少しもったいないんです。
なぜなら、大事なのは「なるほど」で終わることではなく、ではどうすれば動きやすくなるのかに進むことだからです。


私は、理解には二種類あると思っています。
ひとつは、頭で分かる理解。
もうひとつは、実際の関わりや行動に変化が出る理解。
今回のテーマで本当に大事なのは、後者のほうです。


自分を見る目が変わる。
部下への関わり方が変わる。
環境の整え方が変わる。
そこまでいって初めて、この話は現場で生きてくるんです。

だから最後は、自分自身への使い方と、人を育てる立場での使い方、その両方から整理してみたいと思います。


“やってみよう”は、根性で生み出すものではなく、条件を整えることで育ちやすくなる。この視点で見ると、行動の支援はずいぶん現実的になります。


9.自分を責める前に、「今の自分に何が起きているか」を観察してみる

始めたいのに動けないとき、多くの人はまず自分を責めます。
「またできなかった」
「やっぱり自分は続かない」
「本気が足りないんだ」
でも、私はここで少し立ち止まったほうがいいと思っています。


最初にやるべきなのは、責めることではなく、観察することです。
今の自分の中で、何が起きているのか。
何が前に進もうとしていて、何が止めているのか。
ここを見ることから始めたほうがいいんです。


やってみたい気持ちはあるのか。
このままではいたくない、という違和感はあるのか。
何が不安なのか。
何を失うように感じているのか。
意味は見えているのか。
誰かとつながれているのか。
そこを雑にせずに見るだけでも、心の中の渋滞は少しほどけてきます。


問題解決でもそうですよね。
現象を見た瞬間に結論を出すと、たいてい外します。
人の行動も同じなんです。
「動けない」という現象の裏には、いくつもの要因がある。
そこを見ずに、自分に厳しい言葉だけを投げても、たいてい逆効果です。

自分への関わり方も、少し変えていいんです。
叱咤だけではなく、理解を入れる。
甘やかすのではなく、構造を見る。
私は、これがとても大事だと思っています。


人は理解されたときに動きやすくなる。それは、自分自身に対しても同じなんです。


10.一歩を小さくすると、心は思っている以上に前へ進みやすくなる

自分に対してできる、次の大事なことは、一歩を小さくすることです。
ここ、本当に大事なんです。

人は、頭の中で大きくしすぎると、動けなくなります。


資格を取る。
毎日勉強する。
部下育成を変える。
職場を改善する。
こうした言葉は正しいんですが、大きすぎると心が重くなることがあるんです。

だから、もっと小さくしていい。


今日は10分だけ読む。
気づいたことを一行だけ書く。
部下との会話で、質問を一つだけ増やしてみる。
改善案を出すのではなく、まず違和感をメモする。
こういう小ささが、すごく意味を持つんです。


よく、「そんな小さいことで変わるんですか」と思う方がいます。
でも私は、むしろ逆だと思っています。
最初の一歩は、小さいからこそ出やすい。
そして、一度出た一歩は、次の一歩を少し軽くする。
ここが大事なんです。


気合いで大きく始めると、反動も大きいことがあります。
でも、小さく始めると、続けるための現実味が出てくる。
この感覚は、自分に対しても、部下に対しても使えます。

リーダーの立場なら、「もっと主体的に」と言う前に、「最初の一歩をもっと小さくできなか」を考えてみる。
これだけでも、関わり方はずいぶん変わってきます。

11.「意味がある」と腹に落ちたとき、人は少しずつ動き始める

行動を支えるものとして、意味づけはやはり大きいです。
私は、ここを外すと、人はなかなか動ききれないと思っています。


正しいから。
必要だから。
みんなやっているから。
これだけでは、心はそこまで動きません。


「自分にとって意味がある」
「これは自分の仕事や生き方に関係がある」
そこまでつながったときに、ようやく腹の中で動き始めるんです。


自分自身に対しても、ただ「やったほうがいい」で終わらせないことが大切です。
なぜ自分はこれをやりたいのか。
これをやると、何が変わるのか。
自分は本当は何を守りたいのか。
何を変えたいのか。
ここを言葉にしていくと、行動に芯が通りやすくなります。


部下や若手に対しても同じです。
「将来のためになるから」
「成長できるから」
これも間違いではないんですが、それだけでは弱いことがあります。
その人にとっての意味が見えるようにする。
自分の仕事とのつながりが見えるようにする。
ここまでいけると、動きは変わってくるんです。


私は、リーダーの役割は、意味を押しつけることではなく、意味が立ち上がる対話をつくることだと思っています。
ここができると、人は「やらされる」から「やってみよう」に近づいていきます。


12.部下や若手を動かしたいなら、「やれ」より先に見ておきたいものがある

ここは、管理職やリーダーの方に特にお伝えしたいところです。
部下や若手が動かないとき、つい「もっとやる気を出してほしい」と思うことがあります。
それ自体は自然な感情です。
でも、そこだけで終わると、やはり本質を外しやすいんです。

見るべきなのは、その人が何を怖がっているかです。


何が大きすぎるのか。
何に意味を感じられていないのか。
何なら少しできそうと思えるのか。
誰との関係なら安心して動けるのか。
ここを見ると、関わり方が変わってきます。


たとえば、 「まず一回やってみよう」ではなく、「どこが一番引っかかっている?」と聞いてみる。
「何があればやりやすくなる?」と聞いてみる。
「最初の一歩を小さくするなら、どこからならいけそう?」と一緒に考えてみる。


こうした関わりは、相手の心の中にある条件を整えることにつながります。

私は、人材育成というのは、正解を教えることだけでは足りないと思っています。
その人が自分で考え、少しずつ前へ進めるように、条件を整えていくこと。
そこまでやって、初めて育成になる。
ここが坂田式の人材育成の核でもあると思っています。


人は、責められると縮みます。
でも、理解されると少し広がります。
その広がりの中で、「じゃあ、やってみようかな」が生まれてくる。私は、その関わり方を大切にしたいんです。


13.人は性格だけで動くのではなく、環境や関係性によっても大きく変わる

人の行動を本人の性格だけで見てしまうと、どうしても行き詰まりやすいです。
でも、環境や関係性を見るようになると、打ち手が増えてきます。


安心して話せる空気があるか。
失敗を過剰に恐れなくていい雰囲気があるか。
小さな挑戦を見てもらえるか。
違和感を言葉にしても否定されにくいか。
こうした環境条件は、思っている以上に人の動きに影響します。


たとえば、同じ人でも、ある上司のもとでは全然動けないのに、別の上司のもとでは見違えるように動くことがあります。
これは、本人の能力が急に変わったわけではありません。
関係性や空気が変わったことで、心が動きやすくなったんです。

だからこそ、リーダーは「人を変えよう」とするだけでなく、「環境をどう整えるか」を見たほうがいい。


私はここがすごく重要だと思っています。
人は、個人の努力だけで動くわけではない。
場のあり方にも、かなり左右されるんです。

自分自身にも同じことが言えます。


全部を気合いでどうにかしようとしない。
動きやすい時間帯を使う。
やることを見える化する。
話せる相手を持つ。
少しでも取り組みやすい環境をつくる。
こうしたことは、地味ですが効きます。
むしろ、地味な工夫ほど、じわじわ効くことが多いんです。


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14.「このままではいたくない」は、自分を責める言葉ではなく、未来を変える入口になる

今回のコラム全体のタイトルにも入れたように、「このままではいたくない」という感覚は、とても大事だと思っています。


これは、自分を追い込む言葉ではありません。
むしろ、未来を変える入口です。


今のままでは違う気がする。
この関わり方では育ちにくい気がする。
この働き方を続けるのは違う気がする。
その違和感は、不満を言うためだけのものではありません。
変化の種なんです。

人は、違和感があるからこそ見直せます。
違和感があるからこそ、問いが生まれます。
違和感があるからこそ、「やってみよう」が立ち上がる可能性が出てきます。
だから私は、「このままではいたくない」という感覚を、ネガティブなものとして片づけたくないんです。


問題は、その違和感を、自分責めだけに使ってしまうことです。
違和感を、未来を変える材料にする。
この視点が持てると、見え方は変わります。


15.行動は、気合いで起こすものではなく、条件を整えたときに育ちやすくなる

ここまで見てきて、私はやはりこう思うんです。
“やってみよう”とは、気合いで生み出すものではない。
心の中で、いくつもの条件が重なり、整い、支えられたときに、育ちやすくなるものなんです。


好奇心がある。
違和感がある。
不安もある。
損したくない気持ちもある。
でも、意味が見えてくる。
少しならできそうだと思える。
具体的な一歩が見える。
ひとりじゃないと感じられる。
こうしたものが重なったとき、人はようやく「やってみようかな」に近づいていきます。


だから、自分が動けないときも、自分を単純に責めなくていい。
部下や若手が動けないときも、表面だけで判断しなくていい。
大事なのは、条件を見ることです。
何が足りないのか。
どこで引っかかっているのか。
何が整えば、一歩が出やすくなるのか。
そこを見ることが、理解であり、支援なんです。

私は、この視点が広がると、働き方も、育て方も、組織の空気も変わっていくと思っています。


人を「動かす」発想から、人が「動きやすくなる条件を整える」発想へ。
ここに移れると、リーダーシップの質も変わる。
人材育成の質も変わる。
そして、自分自身への向き合い方も、少しやさしく、少し強くなるはずです。


もし今、始めたいのに動けないことがあるとしても、それはあなたの弱さの証明ではないのかもしれません。
部下や若手がまだ動けていないとしても、それは単なるやる気不足ではないのかもしれません。
その心の中で、まだいくつかの条件が折り合いをつけている途中なのかもしれないんです。


だからこそ、焦らず、でも見逃さずにいたい。
「このままではいたくない」という感覚を、責める材料ではなく、未来を変える入口として扱いたい。
その先にある「やってみよう」を、根性論ではなく、理解と支援の中で育てていきたい。
私は、そう思っています。
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マネジメントコンサルティング部 部長
坂田 和則

国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。

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