【EcoTopics】自治体が策定すべき地球温暖化対策関連計画について

目次

環境省では、国と地方の協働・共創による地域における2050年脱炭素社会の実現に向けて、更なる施策を推進するなど、取組を加速させています。改正地球温暖化対策推進法においても、「2050年カーボンニュートラル」宣言やパリ協定に定める目標などを踏まえ、2050年までのカーボンニュートラルの実現について明記されました。「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書」によると、1850~1900年を基準とした世界平均気温は2011~2020年に1.1℃ の温暖化に達したと報告されています。世界全体の温室効果ガスの排出等による人為的な温暖化である確信度は高く、継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、2030年代前半~2040年には1.5℃に到達するとされています。そのため、地球温暖化の進行を抑えるためには、温室効果ガスの排出削減による地球温暖化対策が必要です。

脱炭素社会の実現のためには、地域の実情に応じた自治体の取組が必要不可欠です。自治体の取組には、削減目標や必要な施策について計画を定め、推進することが必要ですが、なかには法律で計画策定が定められているものもあります。

今回は、法律で定められている地球温暖化対策関連計画について、法的根拠や計画の趣旨をご紹介します。

地方公共団体実行計画

地球温暖化対策の推進に関する法律(以下、地球温暖化対策推進法)内には、役場内の温室効果ガス排出量の削減対策を行う事務事業編、行政区域内全体の温室効果ガス排出量の削減対策を行う区域施策編の2編について記載されています。

令和3年10月に閣議決定された国の「地球温暖化対策計画」では、我が国の温室効果ガス排出量削減の中期目標として、令和12年度に、平成25年度比で46%削減することを目指し、さらに50%削減の高みに向けて挑戦を続けていくことが公表されました。自治体においては、国の削減目標を十分に考慮して目標を設定し、取り組むことが重要です。

事務事業編

地球温暖化対策推進法第21条では、「都道府県及び市町村は、単独で又は共同して、地球温暖化対策計画に即して、当該都道府県及び市町村の事務及び事業に関し、温室効果ガスの排出の量の削減等のための措置に関する計画(以下「地方公共団体実行計画」という。)を策定するものとする。」と記載されていることから、すべての自治体に策定義務があります。

事務事業編の削減目標の設定にあたっては、業務その他部門の50%削減が目安となります。また、主な取組例として、庁舎運営、公用車におけるエネルギー使用量の削減や、高効率照明(LED)などの導入による施設設備の省エネルギー化、再生可能エネルギーや次世代自動車の導入などがあり、それぞれの取組目標を設定して、温室効果ガスの排出削減に取り組むことが考えられます。例えば、国が策定した「政府実行計画」では、以下の図のように取組を設定し、推進しています。


出典:2021年10月22日「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の削減等のため実行すべき措置について定める計画」の閣議決定について【資料2】政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の削減等のため実行すべき措置について定める計画の概要 , 環境省 報道発表資料 ,  (参照2023-12-04)

区域施策編

地球温暖化対策推進法第21条第3項では、「都道府県及び指定都市等は、地方公共団体実行計画において、前項各号に掲げる事項のほか、その区域の自然的社会的条件に応じて温室効果ガスの排出の量の削減等を行うための施策に関する事項として次に掲げるものを定めるものとする。」と記載されていることから、都道府県及び指定都市、中核市の市町村については策定義務があります。その他市町村に対しては、同法第21条第4項に、「市町村(指定都市等を除く。)は、地方公共団体実行計画において、第二項各号に掲げる事項のほか、その区域の自然的社会的条件に応じて温室効果ガスの排出の量の削減等を行うための施策に関する事項として前項各号に掲げるものを定めるよう努めるものとする。」と記載されており、努力義務となります。

区域施策編では、行政区域内全体の温室効果ガス排出量の削減対策に取り組みます。策定にあたっては、所管行政区域内における温室効果ガスの排出量を推計し、排出量の分野ごとの傾向を鑑みて削減目標と対策を設定します。行政区域全体の温室効果ガス排出量の削減には、地域の特色が大きく現れるため、地域住民や事業者の協力が必要不可欠です。そのため、地域の特色の反映や意見聴取が重要になります。

環境省では、計画策定に向けたマニュアルやツール等を、以下のサイトで公開しておりますので、事務事業編と併せてご紹介します。

〇策定・実施マニュアル・ツール類|事務事業編(環境省) 
 https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/manual.html
〇策定・実施マニュアル・ツール類|区域施策編(環境省)
 https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/manual3.html

地域気候変動適応計画

地球温暖化の対策には、その原因物質である温室効果ガスの排出量を削減する「緩和策」と気候変化に対して自然生態系や社会・経済システムを調整することにより温暖化の悪影響を軽減する「適応策」があります。

平成30年6月に「気候変動適応法」が公布され、国、地方公共団体、事業者、国民が連携・協力して緩和策と適応策の双方を推進するための法的仕組みが整備されました。




気候変動対策における緩和策と適応策
出典:気候変動と適応 , 気候変動適応プラットフォーム(A-PLAT)HP ,  (参照2023-12-04)

地方公共団体には、気候変動適応法第12条で、「地域気候変動適応計画」の策定が努力義務として位置づけられています。

令和5年4月28日には気候変動適応法が改正され、熱中症発生の予防を強化する仕組みを創設する等の措置を講じ、熱中症対策を一層推進するため、熱中症対策実行計画の基本的事項を定める一部変更を行いました。

気候変動適応計画の策定に当たっては、国が策定した気候変動適応計画に記載されている7つの分野(「農業、森林・林業、水産業」「水環境・水資源」「自然生態系」「自然災害・沿岸域」「健康」「産業・経済活動」「国民生活・都市生活」)を中心に、地域の実情に応じた評価を行い、将来の気候変動影響に関する予測をし、区域内で取り組む施策を立案・推進することが必要です。

気候変動適応法 第13条では、都道府県及び市町村は、その区域における気候変動影響及び気候変動適応に 関する情報の収集、整理、分析及び提供並びに技術的助言を行う拠点としての機能を担う体制を確保するよう努めることとされており、その拠点として、地域気候変動適応センターが都道府県、市区町村等に設置されることとなっています。

また、環境省では、平成27年 11月に閣議決定された政府の適応計画に従い、その基本戦略である「気候リスク情報等の共有と提供を通じた理解と協力の促進」を進める中核的な取組として、平成28年年8月に関係府省庁が連携して「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」を国立環境研究所内に設置しています。気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)では、計画策定に向けたマニュアルやツール等を、以下のサイトで公開しておりますので、ご紹介します。

〇地域気候変動適応計画策定マニュアル(A-PLAT 気候変動適応情報プラットフォーム)
 https://adaptation-platform.nies.go.jp/local/plan/manual.html#j01

環境基本計画

一般的に環境基本計画と呼称されますが、計画の名称に定めはありません。環境基本法第7条では、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と記載されています。

また、同法第36条では、「地方公共団体は、第五節に定める国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を、これらの総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施するものとする。この場合において、都道府県は、主として、広域にわたる施策の実施及び市町村が行う施策の総合調整を行うものとする。」と記載されています。

法律上明確な策定義務はありませんが、これらの条文に沿って行政区域内の環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために策定されるものになります。

策定の手法は自治体によって様々です。環境基本法の理念に沿った「環境基本条例」を制定し、その条例を根拠に策定するケースや、総合計画中の分野別計画として位置づけ、策定するケースが挙げられます。

また、環境基本計画の中に、ご紹介した地方公共団体実行計画や地域気候変動適応計画のほか、生物多様性戦略、環境教育等、地域の実情に応じた環境関連施策を総合的に包含し、一つにまとめて策定するケースもあります。

本コラムでご紹介した計画について、表のように整理しました。

計画の種類と法的根拠・概要

計画の種類  法的根拠・概要
地方公共団体実行計画

【法的根拠】
(事務事業編)
・地球温暖化対策の推進に関する法律第21条第1項
・策定義務あり
(区域施策編)
・地球温暖化対策の推進に関する法律第21条第1項及び第3項、第4項
・都道府県及び指定都市以上は策定義務あり
・その他市町村は努力義務
【概要】
温室効果ガスの排出量削減のため、庁内における取組(事務事業編)、区域全体における取組(区域施策編)を定め、推進を図るもの。

地域気候変動適応計画

    【法的根拠】
・気候変動適応法第4条
・気候変動適応法第12条
・努力義務
【概要】
区域における、自然的経済的社会的状況に応じた気候変動適応に関する施策の推進を図るもの。

環境基本計画

 【法的根拠】
・環境基本法第7条
・環境基本法第36条など
・策定義務なし
【概要】
国の施策に準じた施策及び地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた環境の保全のために必要な施策を、総合的かつ計画的な推進を図るもの。

各計画については、策定後も適切な施策の進捗管理や、社会情勢の変化に対応するため定期的な計画改定が必要になります。また、今後、地球温暖化の進行を食い止めるため、効果的な施策を立案し、加速的に推進することが求められます。

株式会社ナレッジリーンでは、今回ご紹介した自治体の計画策定事業支援に数多く実績があります。本記事をご覧になっての疑問点がございましたら、お問合せください。
関連サイト:行政計画、政策検討|環境・カーボンニュートラル|株式会社ナレッジリーン

(令和5年12月 公共コンサルティング部 山田)


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