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なぜなぜ分析 最初に「なぜ?」はNG│思考を巡らせる、効果的な質問方法

目次

なぜなぜ分析 で最初に「 なぜ? 」を使ってはいけない理由をご存じですか?

部下や後輩から「たっ!大変なことが起きました!」と言われたらどう思いますか?

何か事故でもあったのか?
お客様にご迷惑をかけてしまったのか?
いろいろ考えてしまいますよね。

先日、私は部下から、「たっ!大変なことが起きました!」と言われました。
私は瞬時に「事故でもあったのか??」と考えてしまいましたが、実は・・・・(ネタバレは最後に)

なぜなぜ分析思考を巡らせるには、効果的な「質問」が重要!?

今回もなぜなぜ分析についてです。
「『なぜ?』という質問が思考力を伸ばすトレーニングになる!」というお話です。
NLP(神経言語プログラミング)についても絡めながらお話を進めます。

お話のポイントは3つ。

・傾聴
・チャンクダウン
・「 なぜ? 」(why)は最後に

正しく思考をめぐらせるには、効果的な質問をすることが重要です。

1.傾聴

もし、部下や後輩から「たっ!大変なことが起きました!」と言われたら、
まずは、いつ(when)、誰が(who)、どこで(where)、何を(what)、どのように(how)といった情報を聞いてみます。

傾聴段階では“Why”を使わないことがポイントです。
最初の段階で必要なことは、状況把握です。
原因ではありません。

また、whyは「なぜ?」と聞かれると「怒られている」という心理が働き、正しい詳細な情報を話してくれない可能性があります。
whyはポケットにそっとしのばせながら、まずは部下や後輩の話に耳を傾けてください。

次に、部下や後輩が体験した内容と上司であるあなたが傾聴しながら作りあげた状況が合っているかお互いの認識をスリ合わせるため、
現時点であなたが理解・把握している内容を言葉や文字(メールの場合等)にして相手に投げ返してみてください。(これをNLPの用語でフィードバックといいます。)

もしも、この段階で二人の思考がずれていると、問題がさらに複雑に絡み合って、問題解決をファシリテート(容易に)できなくなります。

2. チャンクダウン

ちなみに私は、わざと間違えたことを相手に返すこともフィードバックテクニックとして使います。
 上司:「Aが起きてBになってしまって、Cがおかしくなったのかな?」
 部下:「いえいえ、そうじゃなくて・・・Bが起きてAになったら、Cがとんでもないことになってます!」
 上司:「とんでもないって、どんなことが起きているんだい??」
間違えた質問をしながら、部下や後輩に再度はなしをさせると、さらに詳細な情報が入るケースがあります。

タレントの明石家さんまさんが、若手芸人の話を引き出すとき、このテクニックを使われています。
このテクニックはチャンクダウンといい、大きなかたまりを小さく分けるという意味です。

あなたの会社で何か問題が発生した場合、その時の状況をまるで小説のように細かく描写し、チャンクダウンを進めます。

3.「 なぜ? 」(Why)は最後に

そして、いよいよ最後に「 なぜ? 」の登場です。
「なぜ?見違えたんだろうね~」
「なぜ?取り間違えたんだろうね~」
「なぜ?忘れ物を確認しなければならなかったんだろうね~」

問題の分析を進めるときには、分析に参加する人達の思考を巡らせることが大切です。
NLP(神経言語プログラミング)では「脳は隙間を埋めたがる。」という話があります。
脳はコンピュータの様なもので、たくさんのプログラムがインストールされていると考えられています。
このプログラムには、遺伝的なものや過去の経験からインプットされた後天的なプログラムもあります。

その中には思考に関するプログラムもあり、事象のギャップを認知すると自動的に思考プログラムがダウンロードされるという仕組みになっています。

例えば次のようなことがあったとしましょう。

『会社へ行ったら上司はいつも通りだと思っていたが(事象A)、上司の機嫌が悪かった。(事象B)』
するとあなたの脳は事象Aと事象Bの間にギャップ(隙間)を認知して「なぜ?機嫌がわるいのだろう。」と思考が始まります。
それも無意識のうちに。考えようとして考えるのでなく、脳が自動的に思考プログラムを起動してしまい、思考が始まるのです。

なぜなぜ分析の「なぜ?」という質問は、脳が持つ思考プログラムを発動させる”きっかけ”を与えてくれる魔法の言葉であり、適切な思考をファシリテートします(容易にします)。

しかし日々忙しいビジネスパーソンは、こと細かな質問を部下や後輩に投げかける時間がないかもしれません。
だからこそ「なぜ?」という簡単かつ効果的な質問を投げかけ、部下や後輩の思考を働かせるスイッチを『ON!』してあげてください。

このように、適切な質問の繰り返し、思考を起動させる雰囲気を作りあげることで、部下や後輩の思考力が高まってきます。

部下から言われた「大変なこと」の正体は・・・

冒頭に述べた私坂田が部下から、「たっ!大変なことが起きました!」と言われましたという事象の正体はコレです。

なんと、左右の靴が違うものを履いてしまっていたのです。
「いくらなんでも履いたときの違和感で気づくだろ~」と考える方も少なからずいらっしゃるかと思いますが、部下に聞いてみたら途中まで全く気づかなかったそうです。

上司坂田と部下の会話のやりとり

 部下「たっ!大変なことが起きました!」
 坂田「どうしたんだっ!!」
 部下「靴を左右違うモノ履いてきてしまいました!!!」
 坂田「な、なに?でも、事故じゃなくて良かった。どこで間違えたんだ?」
 部下「一旦、靴履いて玄関外で靴を履いたんですが、忘れ物したことに気がついてまた部屋の中に戻ったんです。」
 坂田「靴を履いたけど、また脱いでしまったんだな。それから、どうしたんだ?」 
 部下「靴を履いて玄関の外に出たんです。」
 坂田「そうかい。その時、どんな状態で靴を履いたんだろうね~?」
 部下「忘れ物が見つかって『ホッ』としたんですが、時計を見ると『ヤバいっ、時間に遅れる』と思ったんです。だから、急いで足を靴に突っ込みました!!」
 坂田「首を突っ込む時には、何を見ていただろうね~?」
 部下「イヤイヤイヤ。首は突っ込みませんって。あっ師匠!靴を履いた時、辺りが暗かったです。一旦玄関の外に出たときに電気消して、そのまま忘れ物をとりに部屋に入りましたので。」
 坂田「なるほど。靴を履いたときは暗くてよく見えなかったんだな。」

まさに警察に職務質問をしている感じです。しかしこのように聞くと、部下のコバは嫌な感じがあまりしなかったのではないでしょうか。

このように間違えに至るまでの状況を正確に掴むために、効果的な質問をしながらチャンクダウンを進めます。

・視覚(V) 何が見えていたか?
・聴覚(A) 何が聞こえていたか?
・体感覚(K) 何か感じたことはないか?
・動作はどのような流れで進んでいたか?
・特に意識をしていたことは何か?
・どこで事象が発生したのか?
・いつ事象が発生したのか?
・誰がその場所にいたのか? などなど

ちなみに今回のケースでチャンクダウンを進めると、次のことが解りました。

・靴を履くときに見間違えた    (視覚エラー発生)
・靴をとるときつかみ間違えた   (動作エラー発生)
・忘れ物をして玄関から部屋に戻った(あせりが発生)

チャンクダウンはフローチャート等を使用して詳細な動作の内容を順序立てて書き出すと、問題が発生した原因の特定がしやすくなります。

その後のてんまつは・・・
その1
 坂田「で、なんで見間違えたんだ?」
 部下「えっと、同じような色の靴だったので・・・・」
 坂田「そっか、じゃどうすれば見間違えないようにできるかな~?」
 部下「えっと、ちゃんと靴を種類毎に分けておくことです。」
 坂田「そうだな。見間違えしないような改善が必要だな。」
家の中でも改善をさせられる可愛そうな部下なのでした・・・・。

その2
部下の履き違えた足下の写真をSNSに投稿したところ
「オシャレです!」
「私もやりました!」
「なんで間違えたの?」
「VAKのエラー?」 などなど、たくさんのコメント頂きました。
しかし、どのコメントも『私坂田が靴を履き違えた』と勘違いをされている方がほとんどでした。

私は履き違えていない(事象A)
周囲は私が履き違えたと思っている。(事象B)

なぜ?私が履き違えたと思っているんだろ???
さっそく思考のプログラムが自動的ダウンロードされておりました・・・・・

(部下のつぶやき:坂田師匠、それはSNSに写真しか載せてないからですよ。)
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

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坂田 和則さん画像
マネジメントコンサルティング2部 部長
坂田 和則

国内外において、企業内外教育、自己啓発、人材活性化、コストダウン改善のサポートを数多く手がける。「その気にさせるきっかけ」を研究しながら改善ファシリテーションの概念を構築し提唱している。 特に課題解決に必要なコミュニケーション、モチベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、解決行動活性化支援に強く、働く人の喜びを組織の成果につなげるよう活動中。 新5S思考術を用いたコンサルティングやセミナーを行い、現在、企業支援数が190件以上及び年間延べ3,400人を越える人を対象に講演やセミナーの実績を誇る。

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