【EcoTopics】パッケージエアコンの更新による省エネ効果

目次

事務所や店舗などの冷暖房に広く利用されている「パッケージエアコン」の省エネ性能は、メーカー間はもちろん同一メーカー内でもシリーズによって異なります。本コラムでは、環境省が公開している「LD-Tech」を参考に、パッケージエアコンを更新した際の省エネ効果の試算結果をご紹介します。予想される夏の節電要請に向けてパッケージエアコンの更新を検討する際に、是非、ご参考になさってください。

1.メーカー間の省エネ性能の比較

環境省では、2050年カーボンニュートラルに向け、エネルギー起源CO₂の排出削減に最大の効果をもたらす先導的な技術を「環境省 LD-Tech (Leading Decarbonization Technology)」として整理し、普及を進めています。この一覧の利用者には、以下のようなメリットがあり、対象設備のメーカーや脱炭素性能の高い設備を把握することができるため、検討初期の情報収集や設備選定が容易となります。

<環境省 LD-Tech認証製品一覧を活用するメリット>

  • 脱炭素性能において、最高性能を有する設備・機器の情報が一覧化されているため、専門知識がない方でも、設備・機器の情報に素早く辿り着ける。
  • 複数メーカーの製品情報や問合せ先が一覧化されているため、設備・機器の検討・選定をより円滑に実施できる。
  • 条件や能力別に製品を整理しているため、導入先の容量やその他条件(例:寒冷地仕様)に最適な組合せの設備・機器の検討が容易になる。

環境省が公開している「LD-Tech」の中に、トップランナー制度の対象機器として指定される製品を整理した「その他のCO₂削減に係る最高性能を有する製品一覧」があります。この一覧からメーカー間の省エネ性能を比較した結果を表1、表2にまとめました。なお、表1は店舗・オフィス用、表2はビル用マルチです。

省エネ性能は通年エネルギー消費効率(APF)で表し、値が大きいほど高効率であることを示しています。また、「該当なし」と記載している箇所は、環境省の事務局による調査で上位3位程度に該当しなかった、あるいは冷房能力の区分で製品を販売していないことを示しています。

表1 省エネ性能(APF)の比較表(店舗・オフィス用)

※室内機の種類:四方向カセット形
※APF(Annual Performance Factor):通年エネルギー消費効率
出典:環境省 2022年度 環境省LD-Tech認証製品一覧の公表について 
参考資料1「2022年度環境省LD-Techその他の CO2削減に係る最高性能を有する製品一覧  Ver.1.0」を基に弊社にて作成

表2 省エネ性能(APF)の比較表(ビル用マルチ)

出典:環境省 2022年度 環境省LD-Tech認証製品一覧の公表について
参考資料1「2022年度環境省LD-Techその他の CO2削減に係る最高性能を有する製品一覧  Ver.1.0」を基に弊社にて作成

表1及び表2より、冷房能力の区分にもよりますが、いずれも5つのメーカーが確認できました。この表を活用することで、例えば、冷房能力10.0kW以上20.0kW未満の店舗・オフィス用のパッケージエアコンを更新する場合は、M社やH社を候補として比較するといった検討初期の設備選定が容易となります。

2.省エネ効果の試算

弊社の事務所で使用しているパッケージエアコンを対象に、高効率なパッケージエアコンに更新した場合の省エネ効果を試算しました。なお、省エネ効果の算定方法は、令和4年度補正予算省エネルギー投資促進支援事業費補助金(C)指定設備導入事業の「省エネルギー量計算の手引き【指定計算(電気式パッケージエアコン)(ガスヒートポンプエアコン)】」を参考にしました。

①    更新予定設備の選定

弊社のパッケージエアコンは、ビル用マルチでしたので、これと同等の能力の表2のD社の製品に更新することとします。また、比較検討のため、「更新用 VRV QXシリーズ(以下、QXシリーズとする。)」より省エネ性能の低い「更新用 VRV Qシリーズ(以下、Qシリーズとする。)」に更新した場合も試算しました。既存設備及び更新予定設備の仕様を表3に示します。

表3 既存設備及び更新予定設備の仕様一覧表

②    電気使用量の推定

既存設備及び更新予定設備について、電気使用量の推定をした結果を表4に示します(計算の詳細は、文末の参考をご覧ください)。既存設備については推定結果の信頼性を確認するため、2022年度の使用実績も併記しました。

既存設備の電気使用量の推定結果と使用実績を比較すると、使用実績の方が18.5%程度多い傾向が見られますが、これは経年劣化等による効率の低下、感染症対策による外気導入量の増加、最上階での使用のため中間階に比べて空調負荷が高い等が要因として想定されます。

また、更新予定設備の電気使用量の推計結果より、いずれも既存設備よりも省エネ効果が得られることがわかりました。「Qシリーズ」よりも「QXシリーズ」の方がより省エネ効果が高く、省エネ率が7.3ポイントほど高い結果となりました。

表4 既存設備及び更新予定設備の電気使用量の推定結果

③    費用対効果の検証

更新予定設備について、費用対効果の検証をした結果を表5に示します。電力単価については、現在の実勢価格*1を踏まえ、平均単価27円/kWh(高圧電力)と仮定し、電気料金を算定しました。また、法定耐用年数を15年とした場合の電気料金の総支払額を併記しました(単価は15年固定、経年劣化による効率低下は考慮しておりません)。

続いて設備費については、オープン価格となり参考価格の把握が困難であったため、文献*2を参考に「QXシリーズ」は冷房能力1kWあたり6万円、「Qシリーズ」はQXシリーズより10%低い5.4万円と仮定し推定しました(概算となるため、設置業者による見積りにより、工事費や撤去費含め精査する必要があります)。なお、工事費、撤去費及びメンテナンス費は機種によらず同等であると仮定し、本試算では除外しています。

表5 既存設備及び更新予定設備の費用対効果(高圧電力:平均単価27円/kWh)

*1 一般社団法人エネルギ―情報センター、「電気料金単価の推移」、新電力ネット(参照:2023/4/25)
*2 一般社団法人環境共創イニシアチブが代表幹事として大日本印刷株式会社との共同事業体、2022年5月、「令和4年度先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金 公募要領

電気料金(15年)と設備費の合計を比較すると、QXシリーズの方が6万円程度高い結果となりました。QXシリーズは省エネ性能が高いため、Qシリーズよりも電気料金は低くなりましたが、一方で設備費はQシリーズよりも設備費が高いため、このような結果となりました。

本試算では年間稼働時間が1,700h程度(平日(夏季・冬季)、1日10時間程度)としていますが、休日利用がある場合や1日の使用時間が長い場合は電気料金の削減効果が高くなるため、QXシリーズが有利となります。
さらに、QXシリーズ(RQUP280FC)は「令和4年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業(C)指定設備導入事業」の補助対象設備であることより、仮に補助金に採択された場合、設備費の1/3の交付が受けられることを考慮すると、QXシリーズの方がメリットを得られる結果となりました。

平均単価の変動による影響を確認するため、契約種別毎に平均単価36円/kWh(低圧電力)と平均単価23円/kWh(特別高圧)と仮定した場合の電気料金を算定しました。算定結果を表6に示します。QXシリーズとQシリーズの電気料金(15年)の差額を比較すると、低圧電力は14.5万円程度、高圧電力は10.9万円程度、特別高圧は9.2万円程度となり、平均単価が上がることで、省エネ性能の高いQXシリーズの方が電気料金の削減メリットが増加することが分かりました。

表6 電気料金の比較(円/15年)

3.まとめ

①メーカー間の省エネ性能の比較

  • 環境省LD-Techを参照することで、対象設備のメーカーや脱炭素性能の高い設備を把握することができるため、検討初期の情報収集や設備選定が容易となります。

②省エネ効果の試算

  • 本試算では既存設備からの更新で20~28%の省エネ効果が見込まれる結果となりました。
  • D社のQXシリーズとQシリーズの電気料金と設備費の合計を比較すると、QXシリーズの方が高い結果となり、省エネによる電気料金の削減よりも、設備費の増額による影響が大きい傾向が見られました。
  • QXシリーズは補助対象設備となるため、補助金に採択された場合、Qシリーズよりもメリットが得られる結果となりました。
  • 平均単価が高いほど、省エネ性能の高いQXシリーズの方が、電気料金の削減メリットが得られる結果となりました。


環境省が公開している「LD-Tech」を参考に、パッケージエアコンを更新した際の省エネ効果の試算結果をご紹介しました。パッケージエアコンに限らず、他の設備についても同様の考え方で、設備選定や省エネ効果の試算が可能ですので、設備更新時に是非ご検討ください。


参考 電気使用量の計算詳細

(1)既存設備

(2)更新予定設備①

(3)更新予定設備②

(令和5年5月 公共コンサルティング部 藤﨑)


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